クラシック音楽の種類

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このページでは「クラシック音楽の種類」を説明していきましょう。ここでは比較的メジャーなものをあげていきます。

編成による分類

管弦楽曲(orchestra)

一般的な管弦楽では1声部を複数で担当し、通常、指揮者により統制され演奏します。各声部は弦楽器・管楽器(木管楽器および金管楽器)・打楽器があり、さらに鍵盤楽器や現代では電気楽器も加わる場合もあります。

室内楽曲(chamber music)

室内楽は少人数編成の重奏で行われ、1声部に1人の独奏者が配されます。通常2人から9人くらいまでで編成されます。室内楽曲とは室内楽用に作られる曲です。

その起源は、王侯貴族の館の部屋で演奏される世俗音楽にあり、バロック音楽では、独奏・声楽・管弦楽がありました。古典派音楽の時代に近代室内楽が成立し、弦楽四重奏・弦楽三重奏・弦楽五重奏・ヴァイオリンソナタ・ピアノ三重奏・ピアノ四重奏・ピアノ五重奏・フルート四重奏・クラリネット五重奏・木管五重奏などの定型が形成されました。

楽曲の性質による分類

交響曲(symphony)

交響曲は管弦楽によって演奏される多楽章構成の大規模な楽曲のことを指します。構成は原則4つ程度の楽章から成り、そのうち少なくとも1つの楽章がソナタ形式であることと定義するのが通説ですが、近現代では例外が増えています。

ベートーヴェンは9つの交響曲を作曲しています。「交響曲第3番」以降は単なる風景を描写したものではなく人間の内面を表現したものとして、次第にロマン派的傾向を強めていく傾向が見られます。最後の「交響曲第9番」では、終楽章で独唱と合唱、複数の打楽器を取り入れ、緩徐楽章とスケルツォの順番を逆にするなどの斬新な手法で、古典派における交響曲の頂点に達しました。また、それは「絶対音楽」から「標題音楽」へ時代が移り変わることを示すといえるでしょう。

協奏曲(concert)

協奏曲は、主として一つまたは複数の独奏楽器(群)、および管弦楽によって演奏される多楽章からなる楽曲のことを指します。

古典派以降の独奏協奏曲は原則3つの楽章で構成されます。交響曲同様、第1楽章は基本的にソナタ形式で、さらに終楽章がソナタ形式であることもあります。しかし、ソナタ形式としての音楽展開よりも、独奏者の技巧を示すための楽句が随所に見られる傾向が強く、独奏楽器と管弦楽の様々なやりとりが盛り込まれます。

ロマン派音楽以降は協奏曲でも自由な楽章構成が見られるようになり、リストの「ピアノ協奏曲第2番」のように楽章が1つしかないものや、ブラームスの「ピアノ協奏曲第2番」のように4楽章からなる大規模なものもあります。

組曲(suite)

組曲は、いくつかの楽曲を連続して演奏するように組み合わせ並べたものです。

ルネサンスやバロックの時代から組曲の形態は存在していました。

ロマン派以降、「組曲」とは主にバレエ音楽やオペラの音楽の中から、主要曲を抜き出して配列して演奏会で演奏できるようにした管弦楽曲を指すようになりました。このとき、オペラからの組曲では、声楽曲を管弦楽用に編曲されます。

序曲(ouverture)

序曲はオペラや劇付随音楽、古典組曲などの最初に演奏される音楽です。オペラや劇付随音楽などの劇音楽の序曲と、組曲などの序曲では多少性格が異なりますが、前座の音楽という位置づけではなく、全体の開始にふさわしい規模と内容を持つ特徴があります。

ベートーヴェン以降、歌劇や劇付随音楽の序曲は、劇全体の粗筋や雰囲気をまとめあらかじめ伝えるよう作られるようになりました。このことから序曲自体がストーリー性を持ち、のちに交響詩などの標題音楽に発展していきます。また、序曲だけが演奏会で独立して演奏されるようになり、このことから序曲だけを演奏会用序曲として作曲する流れも生まれました。

前奏曲(prelude)

序曲に対して前奏曲というものがあります。劇が始まる前に冗長で、劇の開始自体とは関係のない種明かし的な序曲が演奏されることに対し、ワーグナーからはより短く、種明かしがなく、劇の開始と一体化した曲が作曲されるようになり、これは前奏曲(プレリュード)と名付けられました。

器楽曲としての前奏曲は歴史が古く、J.S.バッハの「平均律クラヴィーア曲集」が前奏曲とフーガがセットであることは有名です。他にもショパンの24曲から成る前奏曲集、ドビュッシーの前奏曲集全2集などが有名な作品です。

舞曲(dance music)

舞踏のリズムを取りやすくするなどのために使われる伴奏の音楽、あるいは、舞踏のリズムを取り入れた小規模な楽曲です。なお、バレエ音楽は舞踏のための伴奏音楽ですが、一般には舞曲に含めません。

バロック時代の17世紀フランスでは、リュートやクラヴサン等で、同じ調のいくつかの舞曲を組にして演奏することが行われていました。アルマンド、クーラント、サラバンドを、この順で演奏するのが基本であり、後にジーグが加わりました。

古典派の交響曲では第3楽章に舞曲(主にメヌエット)が使用されることが通常でした。ロマン派以降の交響曲からはメヌエットはスケルツォに発展し、舞曲としての性格は弱まっていきました。また、交響曲から舞曲を省略する例も多くなってきました。

歌劇(opera)

オペラは、舞台上で衣装を着けた出演者が演技を行います。演劇と異なるのは、台詞だけではなく大半の部分(特に役柄の感情表現)が歌手による歌唱で進められれという特徴があります。歌手は器楽合奏により伴奏されながら歌い演じ、伴奏は多くの場合交響楽団規模の編成になります。

初期ロマン派までのオペラでは、歌唱には二つの様式から成ります。ひとつは「レチタティーヴォ(朗唱)」であり、会話を表現するもので、普通の朗読に近い抑揚で歌われます。もうひとつはソロ(独唱)で歌われる「アリア(詠唱)」や複数の歌手が歌う「重唱(アンサンブル)」あるいは大勢で歌う「合唱」で、通常の歌唱です。いずれの様式も伴奏を伴います。

歌曲(lied)

歌曲とは、独唱声楽曲(または小人数の重唱声楽曲)のジャンルの代表的なものです。18世紀後半から19世紀初頭にかけ確立され、ロマン派時代に興隆を迎えた様式です。

オペラ、オラトリオといった大規模な声楽作品の中の1曲や一部分としての声楽曲は「歌曲」とは通常呼ばない。アリア、カヴァティーナ、カバレッタなど、その性格により呼び分けられています。

間奏曲(intermezzo)

間奏曲とは読んで字のごとく、「間」に演「奏」する経過的な楽曲のことです。

「アントラクト」としてオペラなどの劇の幕と幕の間、または、一つの幕の中での小休止に演奏される楽曲も間奏曲のひとつです。

他にも多楽章構成の楽曲の楽章と楽章の間に挿入される曲(楽章)や、ロマン派の性格的小品のひとつとしてシューマン、ブラームスなどがピアノ作品にインテルメッツォの名をつけているものがあります。

幻想曲(fantasia)

幻想曲は作曲者の自由な想像力に基づき創作される器楽作品の名称として用いられます。即興的な色の濃いものから厳格な対位法によるものまで、その内容は多岐に渡ります。

J.S.バッハの鍵盤楽曲、シューベルトの「さすらい人幻想曲ハ長調 D760」「幻想曲ヘ短調 D940」、ショパンの「幻想曲ヘ短調 Op.49」など、様々な時代で作られています。

奇想曲/狂想曲(capriccio)

奇想曲:カプリッチョ(capriccio)はイタリア語で「気まぐれ」の意味です。奇想曲と呼ばれる音楽には特定の音楽技法や形式があるわけではなく、むしろ形式に縛られない例外的で気まぐれな性格を表しています。

狂詩曲(rhapsody)

狂詩曲は自由奔放な形式で民族的または叙事的な内容を表現した楽曲です。異なる曲調をメドレーのようにつなげたり、既成のメロディを引用したりすることもよくあります。

フランツ・リストが作曲した全19曲の「ハンガリー狂詩曲」が最も大規模かつ有名な作品です。また、ガーシュウィンの「ラプソディ・イン・ブルー」は知名度が高く、ポピュラー音楽の分野にも大きな影響を与えている曲です。

奏鳴曲(sonata)

ソナタは「ソナタ形式」を持つ楽章を含む作品に名付けられる名前です。中期バロック時代以降に形式が確立され、多楽章制の器楽曲または室内楽曲を指すようになりました。

古典派時代のソナタでは、典型的な形式として以下のように構成されます。

  • 第1楽章:急速な音楽で、ソナタ形式が用いられる。緩やかな序奏部がつくこともある。
  • 第2楽章:緩徐楽章で叙情的な性格を持ち、二部形式や変奏曲形式。調は第一楽章の近親調。
  • 第3楽章:主調のメヌエット。第2楽章との入れかわりや省略もある。ベートーヴェン以降はスケルツォが主流。
  • 第4楽章:フィナーレ。急速な音楽で、ロンド形式が多く、調は主調。主調が短調の場合は同主調となることも。

時代が進むにつれ、メヌエット・スケルツォ楽章が近親調となる作品が増え、ロマン派音楽時代には中間楽章でより遠い関係調が用いられることも多くなりました。

性格的小品(character piece)

性格的小品(「せいかくてきしょうひん」と読みます)は、ロマン派やその前後の時代に、自由な発想で作られたピアノのための短い楽曲です。無伴奏またはピアノ伴奏付きの他の楽器のための作品も存在しますが、大規模な編成のための作品は稀です。数曲まとめられた曲集もあります。

性格的小品は様々な形式を持った曲となっており、諧謔曲(スケルツォ)、譚詩曲(バラード)、円舞曲(ワルツ)、夜想曲(ノクターン)、奇想曲(カプリッチョ) 、狂詩曲(ラプソディー)、幻想曲(ファンタジア)、練習曲(エチュード)などの曲名がつけられていることが多いです。

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