高級デジタルオーディオプレーヤーの音質の違いとは

by: ASTELL & KERN

近年ではポータブルプレーヤーの発展がめざましく、ハイレゾリューション音源(ハイレゾ音源)へ対応したモデルも次々と展開されているほか、海外メーカーも市場に参入しており、どの製品を購入するか迷う方も多いでしょう。

特に、クラシック鑑賞に求められるハイクラスなオーディオ環境では、デジタルオーディオプレーヤー(DAP)にもそれなりの機能が必要になってきます。今回は有名メーカーと共に、クラシック音楽向けの高級デジタルオーディオをご紹介していきます。デジタルオーディオプレーヤーを活用し、充実した音楽環境で楽しんでみてはいかがでしょうか。

デジタルオーディオプレーヤーの概要

デジタルオーディオプレーヤーとは?

by: SONY
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デジタルオーディオプレーヤー(digital audio player)とは、内蔵ストレージまたはSDカードなどの外部ストレージに音楽ファイルを入れ、ヘッドホンやイヤホンなどを使って音楽を聴く機器を指します。「DAP」と略して呼ばれることもあります。

デジタルオーディオプレーヤーは手に収まるサイズ感で、持ち運びに便利な点が魅力です。また、高級デジタルオーディオプレイヤーでは、本格オーディオ機器を販売するメーカーの「DACチップ」を搭載しているモデルが多いため、場所を選ばず高音質な音楽を楽しむことができます。

MP3プレーヤーとの違い

by: Amazon.co.jp
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MP3プレーヤーとは、MP3形式で記録されているファイルを再生できる機器のことです。最近では、デジタルオーディオプレーヤーのほとんどがMP3を含む、様々なファイル形式に対応しています。

他にも、音質を決めるパーツとして重要な「DACチップ」の有無、「Bluetooth」や「Wi-Fi」などのワイヤレス対応、「ストリーミングサービス」や「USB-DAC」が利用できるかなども異なる点です。

基本的には、機能面が充実しているか、音質にこだわりを持っているかがMP3プレーヤーとデジタルオーディオプレーヤーの違いです。最近ではMP3プレーヤーであっても「デジタルオーディオプレーヤー」と販売されていることもありますので機器選びには注意しましょう。

ファイル形式について

by: SONY
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MP3という言葉が出てきたので、ファイル形式に触れておきましょう。

音楽をデータ化するにあたり、方式は大きく3つの種類があります。ひとつは「非可逆圧縮」という方式で、デジタル音声データを圧縮しもっともファイル容量を小さくできます。しかし、再生時に圧縮したデータから元のデータへ戻すことができないため、必然的に音の質も悪くなりがちです。ファイル形式としては「MP3」「WMA」「AAC」といったものがあります。

ふたつめは「可逆圧縮」という方式で、デジタル音声データを圧縮しもっともファイル容量を小さくできます。しかも、再生時に圧縮したデータから元のデータへ戻すことができるメリットがあります。限りある容量により多く高音質の音楽データを入れることができ、ファイル形式としては「FLAC」などがあります。

最後はその他の形式で「ハイレゾリューション音源」も属するものであり、デジタル音声データを圧縮しない方式です。圧縮しないためデータサイズが大きくなりますが、最も高音質な音源です。ファイル方式としては、リニアPCM方式である「WAV」「AIFF」や、DSD方式である「DFF」「DSF」があります。

特に、DSD方式はデジタル録音でありながらアナログ録音に最も近い滑らかさを持っているという特徴があります。繊細な音も忠実に再現され、何よりも音質を重視したい方は「DSD方式」への対応を確認しましょう。

スマートフォンと比較したメリット

by: ASTELL & KERN
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もし音質にさほどこだわりがないのであれば、音楽を聞くためにスマートフォンを利用しても問題はありません。しかし、一般的なスマートフォンでは、mp3と同程度とは言いませんが、やはり高級デジタルオーディオプレイヤーの音質には及びません。

ハイレゾリューション音源(ハイレゾ音源)への対応はもちろん、高級機器にあるようなオーディオ性能を満たさないという点でも、こだわるなら専用機器を持ちたいものです。移動中の少しの時間に、音楽を高品質で楽しめると人生が変わるといっても過言ではありません。

高級デジタルオーディオプレイヤーとは

音楽の楽しみ方は二極化している

by: ASTELL & KERN
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CDが世界で最初に登場したのは今から30年以上前の1982年です。今ではCD音源だけでなく、「iTunes」のようなダウンロード販売や、「Amazon Music」や「Spotify」のようなインターネット経由で音楽を楽しむスタイルもメジャーになりつつあります。

気軽に音楽を楽しむことができるようになった一方、インターネットに接続しながら音楽を流す「ストリーミング再生」ではデータを圧縮しているため、音質がどうしても悪くなってしまいます。

しかし、クラシック音楽の愛好家をはじめコアな音楽ファンの間で「音楽をより高音質で楽しむ」という風潮も湧き、「音質が多少悪くても手軽に音楽を楽しみたい」と「より高音質で音楽を聴きたい」というふたつの態度が明確になりました。

高級デジタルオーディオプレイヤーの違い

by: SONY
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高級デジタルオーディオプレイヤーに求められるのは「最高の音質で音楽を楽しめる」という点に尽きます。それはすなわち、2011年に登場した「ハイレゾリューション音源(ハイレゾ音源)へ対応している」ということを示します。

そもそも、音の良し悪しには二つの尺度があり、ひとつは「音域の広さ」です。CD規格では44.1 kHz(キロヘルツ)まで収録されていますが、実は「サンプリング定理(標本化定理)」に基づき、人間の聴力の範囲である20 kHzの音を復元できるように収録されているだけで、CD音源では20 kHzまでしか再生されません。ハイレゾリューションではその数倍の音を体感することができます。耳で聞くのではなく「体感」なのです。

もうひとつが「ダイナミックレンジ」という、小さい音から大きい音までどれくらい入っているかを表すという尺度です。CDが10 db(デシベル)以下なのに対し、ハイレゾは140〜150 dbにもなり、CDで聴こえないレンジの音まで入っています。

ハイレゾリューションとは「高い(high)」「解像度(resolution)」のことであり、音域の広さ音の情報の多さが組み合わさることで、より高音質な音楽を楽しむことができるのです。

デジタルオーディオプレーヤーの選び方

対応ファイル形式・量子化ビット数で選ぶ

by: SONY
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まず、デジタルオーディオプレイヤーがどのようなファイル形式に対応しているかは重要です。最近の機器は「MP3」「WAV」をはじめ、「FLAC」「ALAC」「AIFF」「AAC」などに対応していることがほとんどです。

「DSF」や「WAV」など一部のファイル形式には、CDを超える情報量(容量)のハイレゾリューション音源(ハイレゾ音源)のものもあり、ハイレゾリューションに特別に対応した機器でのみ再生が可能です。ハイレゾリューション対応機器の場合、対応量子化ビット数/サンプリング周波数は24 bit/96 kHz以上が一般的です。

さらに、サンプリング周波数のみで表されるハイレゾリューション規格「DSD」に対応しているかも注目です。「DSD」によるハイレゾリューション再生にこだわりたい方は、機器のサンプリング周波数が5.6 MHzまでカバーしているかを確認しておきましょう。

ハイエンドモデルにこだわるなら、「DAC(D/Aコンバーター)」にこだわることも重要です。デジタル信号をアナログ信号に変換するしているDACは、メーカーや型によって、ハイレゾリューション音源再生時の音質に大きな差が出ます。「旭化成」「ESS」「CIRRUS LOGIC」といった有力メーカーのDACを使いたいものです。

ヘッドホンアンプで選ぶ

by: Cayin
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ヘッドホンやイヤホンを使用することが前提であり、ヘッドホンアンプ部の品質も重要です。電気抵抗値を表す「インピーダンス」も、選ぶ際にはしっかりチェックしておきましょう。

高級ヘッドホンの中には、300 Ω程度のインピーダンスが高い機器もありますが、デジタルオーディオプレイヤーには150 Ω程度までしか対応しないモデルも存在します。また、ポータブル向けのヘッドホンやイヤホンの多くは、100 Ω以下の機器がほとんどです。

バランス接続対応で選ぶ

by: SONY
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アンプ部の端子も選ぶ際に気をつけるべきポイントです。通常の方式に比べて、「バランス接続」では左右の音が混ざり合う「クロストーク」と呼ばれる現象を低下させることで、豊かなステレオ感を再現し、高音質を図っている方法です。端子規格は2種類存在しており、2.5 mm径と4.4 mm径があります。

通常のデジタルオーディオプレイヤーの端子は、3.5 mmのステレオミニジャックと呼ばれるタイプが主流です。バランス接続に対応した製品も増えており、サウンドクオリティにこだわる方はチェックしておきましょう。

操作性で選ぶ

by: SONY
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数年前まで、ポータブルプレイヤーはボタンで操作する機種がほとんどでした。現在では、液晶画面を触って操作するタッチパネルのタイプが主流です。

機種によってはサイドボタンで再生・停止・早送り・巻き戻しができるものもあり、「ポケットに入れたまま操作したい」などのこだわりがあれば、ボタンの機能をしっかりチェックしましょう。

容量・重さ・バッテリーで選ぶ

by: SONY
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デジタルオーディオプレイヤーは小さな本体に機能を納めています。そのためどこかの点をオミットしており、音質を優先するのか、コンパクトさを追求するのか、バッテリーのスタミナを重視するのかは、製品により異なります。

本体記録容量に関しては、多くの機器がmicroSDカードに対応しています。機器がどの容量のmicroSDカードに対応しているか、あわせてチェックしておきましょう。

その他の仕様で選ぶ

by: ASTELL & KERN
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その他の代表的な仕様として、「Bluetoothへの対応」の有無があります。Bluetoothによる無線接続に対応していれば、ワイヤレスでリスニングを楽しむことができます。ワイヤレスのイヤホン・ヘッドホンと接続するだけでなく、自宅のスピーカーやカーステレオでも再生でき、様々なシーンで高音質な音楽を楽しむことが可能になります。

「Bluetoothは音質が悪い」という意見もありますが、詳細は別の記事で紹介する通り、結論としては「音質が悪いのはBluetoothが理由ではない」のです。ただし、ハイレゾリューション音源(ハイレゾ音源)をBluetoothで楽しむならば、ソニーの「LDAC方式」やクアルコムの「aptX方式」などのハイレゾリューション用の伝送方式に対応したモデルを選びましょう。

高級デジタルオーディオプレーヤー3選

Cayin(カイン)

Cayin(カイン)は中国で1993年設立された会社です。中国といっても信頼できるちゃんとしたメーカーですので安心してくださいね。こちらはCayin(カイン)のN8です。

by: Cayin
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N8はヘッドホンアンプ部に真空管を採用している点が特徴です。現在主流のトランジスタと比べると、真空管はなめらかで温かみのあるサウンドが魅力です。しかし、小型化が困難かつ振動に弱いため、ポータブル機としてはとても珍しいのです。スピーカー用の真空管アンプに実績のあるメーカーだからこそ実現した技術といえるでしょう。

真空管はKORG社が開発した「Ntube」を採用。DACには旭化成エレクトロニクス社の「AK4497EQ」を2基搭載し、オペアンプも「MUSES02」を2基使用されており、高い完成度を誇ります。また、3.5 mmステレオミニに加え、4.4 mm径バランス接続にも対応します。

ストレージは内蔵の128 GBに加え、最大512 GBまでmicroSDカードで増設可能。Bluetoothにも対応しており、無線でも真空管サウンドを楽しむことができます。

ASTELL & KERN(アステルアンドケルン)

ASTELL & KERN(アステルアンドケルン)は韓国iriver(アイリバー)社の高価格帯Hi-Fiオーディオシリーズのブランドです。従来製品と一線を画し、世界で戦えるレベルの製品をコンセプトに開発されています。こちらはA&ultima SP2000 Copperです。

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注目は旭化成の新最上位DAC「AK4499EQ」をデュアルで搭載している点です。高分解能な32 bit処理に加え、ノイズ耐性の大幅な改善により、さらに繊細な音の表現が可能になっています。

イヤホン出力は、3.5 mmのアンバランスで光デジタル出力兼用端子を1系統と、2.5 mm 4極のバランス出力も1系統備えています。

内蔵ストレージメモリーは512 GB。microSDをカードスロットを備え、最大512 GBまでのカードが利用可能で、組み合わせると最大1,024 GBまで拡張が可能です。

デザインは"Copper"とカラーデザインが異なる"Stainless Steel"があります。

こちらはKANN CUBEです。

by: ASTELL & KERN
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従来機"KANN"の上位機種にあたります。KANN CUBEは、ESS社製の8 ch DAC「ES9038PRO」をデュアルで構成で搭載しています。左右それぞれの8 chをフル活用しD/A変換を行うことで、限りなく正確なサウンドを実現することに成功しています。

ヘッドホン出力も注目すべき点です。KANN CUBEでは、出力ゲインが「High」「Mid」「Low」の3ポジションになり、そのうち「High」は3.5 mmアンバランス6 Vrms、2.5 mmバランス12 Vrmsとなっています。この値は、ほかのAstell&Kern製品と比べても倍近い高出力となっており、驚異的です。

SONY(ソニー)

こちらはSONY(ソニー)のNW-ZX507です。

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従来機"NW-ZX300"の上位モデルで、イヤホンのバランス接続に対応しています。電源部のコンデンサーや内部配線のはんだなど、音質に影響の大きい部品・素材が強化されているのが特徴です。従来よりもさらにノイズ感と歪みが少なく、クリアで深みのあるサウンドが堪能できます。

内蔵ストレージは64 GBで、microSDカードによる増設ももちろん可能。1280×720ドットの3.6インチ大型高精細ディスプレイを搭載しており、タッチパネルによる操作のしやすさも要チェックです。

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