クラシック音楽を本格的に楽しむなら、音源から信号を読み取るプレイヤー・信号を変換するアンプ・空間を音楽で満たすスピーカーにこだわることは必須です。ハイレゾリューション対応や迫力ある重低音での出力など、優れた製品が数多く開発されており、その違いは比較してみれば明らかです。
高級オーディオがあれば音楽はもちろん、映画鑑賞にも大活躍です。臨場感ある音声や豊かな響きのバックミュージックは、あなたを映像の世界へ深く誘うことでしょう。今回は有名メーカーと共に、クラシック音楽向けの高級オーディオをご紹介します。ぜひ充実したオーディオ環境を自宅に揃え、存分に楽しんでみてはいかがでしょうか。
オーディオセットの3要素
オーディオセットは3つの要素から構成されます。それぞれの要素については後から説明します。
- プレイヤー
- アンプ
- スピーカー
まず知っておいていただきたい点は「音響メーカーにはそれぞれ得意・苦手な部分がある」ということです。
例えば、ジャズならば「時に弾むように、時に繊細で柔らかい音を再生するアメリカの"JBL(ジェービーエル)"」、オーケストラならば「音が部屋全体に広がり柔らかく響くイギリスの"TANNOY(タンノイ)"」、ロックやポップスなら「大阪発祥の"ONKYO(オンキヨー)"」などがスピーカーの有名メーカーです。
反対に、ある特徴に特化せず、幅広い音楽ジャンルをバランスよく聴かせてくれる特徴を持つモデルを選ぶのもひとつの選択肢です。超高級オーディオメーカー"Mark Levinson(マークレビンソン)"などが該当します。
重要なのは、プレイヤー・アンプ・スピーカーの3要素をうまく組み合わせたときに、はじめて本来のハイエンド機器としての性能を発揮することができるのです。
プレイヤー
プレイヤーとは

プレイヤーとは音楽の音声データが記録された記憶媒体からデータを読み出す機器です。レコードやCDを読み出すものをイメージしがちですが、最近ではデジタルオーディオプレイヤー(DAP)の発展も著しいです。
デジタルオーディオプレイヤー(DAP)については別の記事で紹介するとして、ここではレコードやCD等のディスク媒体に絞って紹介しましょう。
プレイヤーの選び方
レコードプレイヤーの選び方
フォノイコライザーの有無
レコードプレーヤーはレコードに刻まれた音楽信号を読み取り再生するものですが、そのまま再生しても、高い音が際立った違和感のある音楽が聴こえてきます。これは、レコードに音楽を記録する際に、高音は大きく、低音は小さく周波数を調整する記録方法を採用しているためです。
レコードを聴くためには、この独特の周波数をフラットな状態に戻す必要があり、この修正を行うのが「フォノイコライザー」という機器です。入門機器にはもともと内蔵されているものも多いです。
回転方式・回転数

レコードプレーヤーを選ぶ際には、回転方式や回転数も確認が必要です。現在の主流な回転方式は「ベルトドライブ式」と「ダイレクトドライブ式」の2つです。
ベルトドライブ式は、別々に置かれたモーターとターンテーブル(回転盤)をベルトでつなぎ、ベルトを介してモーターの動力を伝えるものです。汎用的なモーターを使うことができるため、レコードプレーヤーの価格は抑え気味です。
ダイレクトドライブ式は、モーターの上に直接ターンテーブルを置いて回転させるものです。起動や停止が早いことや、ムラのない安定した回転が魅力ですが、精度の高い専用モーターが必要となるため比較的高価です。
回転数については、1分間あたり「33と3分の1回転」、「45回転」、「78回転」などがあります。
カートリッジの種類
カートリッジはレコードを読み取る「針」がついている部分です。レコードの音楽信号を読み取る重要なパーツで、読み取った音楽信号を私たちの耳へ音楽として届くように変換するのが役目です。
カートリッジはマグネットを振動させる「ムービング・マグネット型(MM型)」と、コイルを振動させる「ムービング・コイル型(MC型)」の2種類があります。MM型は安価で使いやすく、MC型は音質が良いという特徴があります。
外部出力(USB端子・Bluetooth接続)
アナログ音楽を音楽プレーヤーやスマートフォンで楽しみたいのであれば、なんらかの方法で出力する必要があります。
USB端子がついているプレーヤーなら、USBケーブルでレコードプレーヤーとパソコンをつなぎ、レコードの音楽信号をデジタル化しスマートフォンや音楽プレーヤーに取り込むことができます。
また、Bluetoothに対応したものなら、Bluetoothスピーカーやヘッドホンでレコードの音楽を楽しむことができます。
その他

レコードプレーヤーにとっては振動は大敵で、振動を抑えることが音質向上につながります。
キャビネットと呼ばれる土台部分は大きく、重い材質の方が振動による影響を受けにくいです。また、レコードプレーヤーの音質を保つには水平な場所に設置することや、他の機器の振動に干渉されないことも重要となります。そのためにも、インシュレーターというキャビネットを支える脚の部分の安定感もチェックしましょう。
ホコリからレコードプレーヤーを守るためのダストカバーが付いていれば保管時も安心ですね。
高級プレイヤー3選
Mcintosh(マッキントッシュ)
レコード
まずはMcintosh(マッキントッシュ)のMT10です。

LUXMAN(ラックスマン)
レコード
こちらはLUXMAN(ラックスマン)のPD-151です。

Technics(テクニクス)
レコード
こちらはTechnics(テクニクス)のSL-1200GR-Sです。Technicsはパナソニック(旧 松下電器産業)のブランドです。

アンプ
アンプとは

アンプリファイヤー(略してアンプ)とは、CD、レコード、デジタルアナログコンバーター(DAC)などのプレイヤー機器と、スピーカー(パッシブタイプ)の間に接続するコンポの一種です。
プレイヤーから入力された音楽信号をスピーカーから音として鳴らすための仲介の役割を果たします。機能としては、各種入力のセレクター、ボリュームと音質調整、音楽信号の増幅、スピーカーへの電力送信を行っています。
アンプの役割として、別々のコンポーネントにされていたので「プリアンプ(コントロールアンプ)」と「メインアンプ」の2種類に分けられます。2つを一体化したものは「プリメインアンプ」や「インテグレイティドアンプ(総合アンプ)」という呼称で呼ばれます。
プリアンプの役割は、(ラインレベルの)小さな入力信号を増幅することはもちろんのこと、音を細かく調整する、入力を切り替える機能を備えています。そのために高音域、中音域、低音域の音量を個別に調整する「トーン・コントロールつまみ」や、ステレオの左右の音量を調整する「バランス調整つまみ」、入力を選択する「入力切替スイッチ」(入力セレクタ・スイッチ)などを備えています。
メインアンプの役割は、プリアンプからの出力を受けて電力増幅を行い、スピーカーなどを駆動することです。電力を増幅するだけのため、入力制限用または出力調整用の「ボリュームつまみ」が付いているのみ、というものが一般的です。プリアンプ側にメインボリュームがあることを前提として、ボリュームが無いものも少なくありません。
アンプの選び方
入力で選ぶ

最近は音源自体が多様化しています。従来のオーディオアンプではレコードやCDへの対応のためにアナログライン入力を備えているのが普通でした。現在はアナログ入力に加え、デジタル音源の直接入力に対応するアンプも増えてきています。ハイレゾリューション音源(ハイレゾ音源)への対応有無は注目すべき点です。
レコードを再生するためには、プレイヤーまたはアンプにフォノイコライザーの機能が必須です。必ずチェックしましょう。
また、アナログ入力は一般的なRCAプラグに加えて、XLRプラグをバランス型として備えているものが高級オーディオアンプには多いです。XLR出力機器を持っているのであれば入出力プラグにも注目しましょう。
出力(増幅)で選ぶ

一般的に、「オーディオアンプは大出力ほど音質がよい」と言われてきました。高価な機種ほど大出力で、高価な部品が使われやすいためです。実際には必ずしもそうとは言えないというのが現実です。
普通の家庭での部屋(20畳くらいまで)で、常識的な能率(85 dB前後)のスピーカーを鳴らすのであれば、数十 Wもあれば十分です。もし大型の高級スピーカーを広い空間で大音量で鳴らすのであれば、100 W以上が必要なこともあります。
アンプの出力はパワー部の増幅方法によって左右されます。出力が小さい方からA級、AB級、D級です。ざっくり言うとA級が滑らかな音で、D級はパワフルで低音が明確、AB級はバランスの良さを持つと言われます。
機能で選ぶ

アンプには基本的に「入出力セレクター」と「ボリューム機能」があります。加えて、音質を調整することができる「トーンコントロール機能」、ヘッドホン・イヤホンも使える「ヘッドホン端子」を備えているものがあります。また、「リモコン」もあると便利です。値段が高くても機能が少ない機種は多いのでよく確認しましょう。
定価で20万円以上するような高級オーディオアンプの多くは、筐体が大きく、重さも20 kgを超えるものが大半です。大きいほど取り回しは難しくなりますから、無暗に値段が高いものを買うのではなく、自分の使用環境に合った一台を選ぶことが大切ですね。
高級アンプ3選
Mark Levinson(マークレビンソン)
Mark Levinson(マークレビンソン)は一般の方にはあまり馴染みのないメーカーかもしれません。しかし、オーディオの界隈では有名な超高級メーカーです。マークレビンソンは一切の妥協を許さず、真の音楽ファンを魅了します。
プリアンプ
まずはNo52を紹介しましょう。

驚異的な静寂性と広大なダイナミックレンジが魅了する音は至高の世界を感じさせます。こちらはお値段¥3,500,000(税抜)となります。
もう一台はNo523を紹介しておきましょう。

こちらはお値段¥1,750,000(税抜)となります。なんと、No52の半額となっており大変お買い得ですね。
メインアンプ
こちらはNo536です。

お値段¥1,600,000(税抜)となります。モノラル出力で、スピーカー1台につきNo536が一台必要です。
もう一台はNo534を紹介しておきましょう。

お値段¥2,150,000(税抜)となります。こちらはステレオ出力可能で、一台で十分です。
Mcintosh(マッキントッシュ)
Mcintosh(マッキントッシュ)もまた、オーディオ界隈では有名な高級メーカーです。Mark Levinson(マークレビンソン)と比較されることも多いですが、低音域の表現は全く異なります。しかし、究極のスピーカーJBLを鳴らすために作られたという意味で、アンプの世界でトップを争う地位にあることは間違いありません。
プリメインアンプ
こちらはMA9000です。

お値段¥1,650,000(税抜)となります。マッキントッシュの伝統のデザインを継承しつつも、現在的なコンセプトを取り込んだ名品です。プリアンプ・メインアンプの統合型となっておりお買い得。
JEFF ROWLAND(ジェフローランド)
JEFF ROWLAND(ジェフローランド)もオーディオ界の高級メーカーです。
プリアンプ
こちらはCORUS/PSUです。

お値段¥3,550,000(税抜)となります。
スピーカー
スピーカーとは

スピーカーとは最終的に音を体現する機器です。高級スピーカーを手がける各オーディオメーカーは、それぞれ独自の音作りを行っており、自分の好みや音楽ジャンルに合ったスピーカーを選べます。それはすなわち「メーカーによりスピーカーの構造が異なる」ということを意味します。
高音質なハイレゾリューション音源(ハイレゾ音源)に対応しているモデルも多数販売されています。より録音時に近いリアルな音質、楽器編成の位置まで感じられる空間再現性の高さを楽しむことができるので、チェックしたいポイントです。
サイズや形状もさまざまで、ミニコンポのような型、リビングの床に直置きするフロア型、棚にスマートに設置できるブックシェルフ型などラインナップは豊富です。PC用スピーカーやワイヤレススピーカーなどもあり、用途に適したモデルを見つけられます。
高級スピーカーはデザイン性に優れたモデルが多いのも特徴です。上質な木材を用いた品のよいデザインや、シックで洗練されたモダンデザインなどのおしゃれなスピーカーは、インテリアとしても部屋をおしゃれに飾ってくれることでしょう。
スピーカーの選び方
種類で選ぶ
パッシブスピーカー

パッシブスピーカーとは、アンプを内蔵せず駆動に電源を必要としないスピーカーです。身近な例としては、ミニコンポに付属している両脇に置かれるスピーカーなどが当てはまります。
一般的な家庭向け製品からプロ仕様の本格的な製品まで幅が広く、高級スピーカーになると中には数百万円以上の製品も存在します。オーディオ用やホームシアター用に適したスピーカーのラインナップが多彩で、選択肢の豊富さもポイントです。
アンプに繋ぎ使用するので、スピーカーとアンプの組み合わせにより好みの音を追求することが可能です。本格的に音楽を豊かな音で楽しみたい方には必須です。
アクティブスピーカー

アクティブスピーカーとは、アンプを内蔵し、駆動に電源を必要とするスピーカーのことをいいます。
アクティブスピーカーの例としては、USBで給電するPC用スピーカーやBluetoothスピーカーなどが挙げられ、パッシブスピーカーよりも身近であるといえます。電源ケーブルに繋ぐ・充電して使うと、電力を必要とするスピーカーはアクティブスピーカーであると判断できます。PCやスマートフォンと接続して音楽を再生することを想定したモデルが多く、手軽に豊かな音楽を楽しめる魅力があります。
手軽かつ身近である一方、パッシブスピーカーに比べるとパワーが落ち、重低音の響きや音の豊かさは劣ると言わざるを得ません。
形状で選ぶ
ブックシェルフ型

ブックシェルフ型は、その名の通り本棚に設置できるコンパクトなスピーカーです。部屋の中で大きなスペースを取らず、さまざまな場所に置ける点が魅力です。
サイズが小さいため低音域の再生をやや苦手としますが、各メーカーが知恵をしぼり高音から低音までしっかり響かせる製品も販売されています。省スペースで豊かな音質を楽しむための高級スピーカーを探している方にぴったりです。
トールボーイ型

トールボーイ型は、細長く背の高いタイプのスピーカーです。横幅をあまり取らないため、テレビやホームシアターの脇にもスリムに設置可能です。サイズも比較的大きいため、低音域の再生も得意です。
スタイリッシュでおしゃれな見た目も魅力ですね。ただし、次のフロア型と比較すると、音の繊細な表現や再現性に物足りなさを感じる傾向があるという意見もあり、注意も必要です。
フロア型

フロア型は、床に直接設置するタイプのスピーカーです。大きなサイズの製品が多く、リビングなどの広い部屋でゆったりと音楽を聴くのにも最適なタイプです。低音域の再生に優れ、深い低音を聴かせてくれます。
高級スピーカーはこのタイプがメインで多種多様な製品が存在します。本格的に豊かな音響を楽しむ、自分好みの音を追求したいなど、とにかく音にこだわる方におすすめのタイプです。
高級スピーカー3選
JBL(ジェービーエル)
パッシブスピーカー
まずはJBL(ジェービーエル)のフロア型スピーカー S4700です。

数々の賞を受賞した、多くの方から支持されている高級スピーカーです。フロア型のパッシブスピーカーとして活躍するとともに、ウォールナットの天然木を用いた風格あるデザインはお部屋のインテリアの格を上げてくれます。
JBL伝統のユニット形式に最新テクノロジーを融合させており、38cmの大口径ウーファー採用により低音再生能力に優れます。ハイレゾリューション音源(ハイレゾ音源)に対応している点もポイントです。
アクティブスピーカー
こちらはJBL(ジェービーエル)のアクティブスピーカー BOOMBOXです。

深い音質と豊かなベース音の屋内モードと、音の広がる力強いベース音の屋外モードを切り替えることができ、シーンに合わせた音質を楽しむことができます。Bluetoothでワイヤレスにストリーミング再生できることはもちろん、2台まで機器を接続でき交互に再生することも可能です。
Tannoy(タンノイ)
パッシブスピーカー
こちらはTannoy(タンノイ)のPrestige Autograph mini GRです。

Tannoyによるフロア型の人気高級スピーカーです。TANNOYの本流を担う「プレステージ」シリーズの流れを受け継ぎ、Tannoyの代名詞ともいえるデュアル・コンセントリックが採用されています。ウォールナット無垢材を箱に用い、クラシカルで上品なデザインですね。
点音源による、正確な音像表現を味わえます。柔らかい響きや広がりのある再生が得意なので、クラシック音楽に向いています。ハイレゾリューション音源(ハイレゾ音源)に対応しており、ハイクオリティなサウンドを楽しめるのもポイントです。
Tannoy(タンノイ)のもう一台はRevolution XT 6です。

Tannoyの人気ブックシェルフ型スピーカーです。小型で場所を選ばずさまざまなスペースに設置が可能な点が嬉しいです。デュアル・コンセントリックを採用しており、点音源ならではの緻密な音描写もポイント。音の定位がよく、高級スピーカーならではのサウンドを楽しめます。
SONY(ソニー)
パッシブスピーカー
こちらはSONY(ソニー)のSS-NA2ESpeです。

情報量豊かでリアリティのあるサウンドを基本に、広指向性トゥイーターを搭載しており、音質のナチュラルな質感、感触が追求されています。この「プレミアム・エディション」は美しいピアノ塗装を採用しており、木製の外装とはまた異なるクールなインテリアの存在感を放ちます。
アクティブスピーカー
こちらはSONY(ソニー)のSRS-XB41です。

Φ約58 mm口径のフルレンジスピーカーユニットを2基搭載しており、大音圧と圧倒的な重低音が広がります。また、低音を強化する「EXTRA BASS」モードでは、サイズを超えた重低音を楽しめます。
ソニーが培った先進の高音質技術がふんだんに投入されており、ソニーならではの高音質で音楽をより楽しむことができます。