入社式の日、同期は5人でした。
私を含めて女性が2人、男性が3人。全員が別の大学出身で、年齢も少しばらついていた。式が終わって最初のランチを5人で食べながら、「少ないな」と思いました。大学の友人たちは大手企業に入った子が多くて、「同期が200人いて最初の研修が合宿だった」とか「同期のグループLINEに100人いる」とかいう話を聞かされていたから、5人という数字がやけに小さく感じた。
入社から2年以上が経った今、あの5人という数字についていろいろ思うことがあります。
最初の半年:「少なさ」が怖かった
同期が少ないことの怖さは、最初の半年でリアルに感じました。
一番きつかったのは、比較対象がいないことです。「自分は仕事ができているのか、できていないのか」がわからない。大人数の会社なら、同期の誰かと話すことで「自分だけじゃないんだ」とか「あの人はもうここまでできるんだ」という基準が生まれる。でも5人だと、比べられる人数が少なすぎて、自分の立ち位置が見えにくい。
しかも5人の中でも、配属部署が違えば仕事内容はまったく別です。私は営業サポートで、他の同期は経理・営業・総務にそれぞれ散らばった。「今どんな仕事してる?」と聞いても、全然違う話になる。悩みを共有できる相手がいそうでいない、という感覚でした。
孤独でした。正直に言うと。
転機:少人数だからこそ起きたこと
半年を過ぎたころから、少しずつ感覚が変わってきました。
5人しかいないから、全員の顔と名前と性格を深く知っている。誰が何を得意としていて、誰が今何に困っているかが、自然とわかるようになっていた。大人数の同期の中に埋もれることなく、お互いの状況が見えている。
ある日、同期の一人(経理配属の男性)が「月次の締め作業が間に合わなくて詰んでる」と昼休みに話していました。私の仕事とは関係ないけれど、なんとなく「手伝えることある?」と聞いた。データの入力作業を少し手伝って、2時間後に「助かった」と言われた。
その「助かった」が、思いのほか嬉しかった。同期が多ければ誰かが助けていたかもしれない。でも5人しかいないから、私が気づいた。5人しかいないから、私が動いた。
100人の同期がいる会社に就職した友人の話
大学の友人に、新卒で大手メーカーに入った子がいます。同期が130人いて、入社後3ヶ月は全員合宿研修だったと話していました。
彼女が2年目になったとき、「同期が多すぎて、誰が誰かわからなくなってきた」と言っていました。仲の良い同期は5〜6人に絞られてきて、それ以外の人とはほぼ話さない。「最初はにぎやかで楽しかったけど、結局親しくなれる人数には限りがある」と。
それを聞いたとき、「同期の多い少ない」は、入ってから感じる孤独の質が違うだけで、孤独そのものはどちらにも存在するんだなと思いました。100人いても、本当に話せる人が5人なら、実態はあまり変わらない。
「5人」でよかったと思えるようになった理由
今振り返ると、同期が5人だったことには、大人数にはない良さがあったと感じています。
一つは、全員のことを知っていることです。2年以上一緒にいると、5人それぞれの強みと弱みが自然とわかる。誰かが困っているサインに気づきやすい。「同期全員と仲がいい」という状態が、大人数では難しいけれど、5人なら普通にあり得る。
二つ目は、埋もれなかったことです。少人数だから、入社1年目から自分の仕事がダイレクトに会社に影響しているのが感じられた。大人数だと「自分がいなくても誰かがやる」という感覚になりやすいと聞くけれど、5人だとそれができない。責任が重い分、やりがいも早く感じられました。
三つ目は、会社全体が早く見えたことです。少人数の会社は、上の人たちとの距離が近い。入社半年で社長と直接話す機会があったり、部長の判断の背景が見えたりする。大きな会社では数年かかることが、早いサイクルで経験できます。
それでも、羨ましいと思う瞬間はある
正直に書くと、今でも羨ましいと思う瞬間はあります。
大人数の同期がいる会社では、同期旅行があったり、同期で飲み会を企画したり、何かあったときに「同期の誰かに連絡する」という選択肢が豊富にある。うちの5人は仲がいいけれど、飲みに行けるタイミングはなかなか合わないし、会社の愚痴を言える相手が限られるのは変わらない。
また、「同期が多い会社=研修や教育が体系化されている」ことも多く、スキルの習得スピードや知識の土台が違うと感じる場面もあります。うちは完全にOJTで、教えてもらえる内容は上司次第でした。
どちらが良いかは、結局のところ「何を大切にするか」によって変わる。そのことは、2年経った今もそう思っています。
同期が少ない環境で、孤独を和らげるためにやったこと
同期が少ないことは変えられないので、それ以外のところで「話せる人」を増やすことを意識しました。
社内では、同期以外の先輩・上司との関係を意識して作るようにした。ランチに誘ってみたり、仕事の相談を積極的にしたりするうちに、「この人には相談しやすい」という人が何人か見つかりました。同期ではないけれど、信頼できる社内の人間が増えることで、孤独感はかなり変わりました。
社外では、同じ年代の社会人が集まるコミュニティに参加してみました。業種も会社も違う人たちと話すことで、「自分の会社だけが基準じゃない」という視野が生まれました。違う環境で働いている人の話は、思ったより刺激になります。
結局、どちらが良かったか
「5人と100人、どちらが良かったか」という問いに、正直に答えると——今の自分には5人の方が合っていたと思っている、というのが結論です。
ただしそれは、「5人の方が客観的に優れている」ということではありません。私がたまたま、埋もれない環境の方が動きやすい性格だったから、という話だと思っています。大人数の中でも輝ける人もいるし、少人数の密度の高さが苦手な人もいる。
同期の数は入社前に選べることが多くないけれど、その環境の中でどう動くかは選べます。少ないなら少ないなりの良さを探す。多いなら多いなりの良さを探す。それをしながら2年間やってきて、今の私はそれなりに、今の場所が好きです。
