上京が決まってまず最初にぶつかる壁、それが「家探し」です。
私が北海道から上京するにあたって、賃貸を探し始めたのは入社の約2ヶ月前。会社に社宅はなく、完全に自力での物件探しでした。右も左もわからないまま、とりあえずSUUMOを開いて「東京・1K・6万円以下」と検索した瞬間、ヒット件数の多さに目が眩んだのを今でも覚えています。
この記事では、私が実際に経験した家探しの流れと、やってよかったこと・失敗したことを正直にお伝えします。これから上京する方の参考になれば嬉しいです。
失敗① 条件を絞らずに探し始めた
最初の2週間、私は毎晩スマホで物件を眺め続けました。「広い方がいい」「駅近がいい」「新しい方がいい」「家賃は安い方がいい」——全部の条件を同時に追いかけていたので、見れば見るほど迷うだけで一向に絞れない。
内見を申し込んだ物件が4件になったころ、不動産屋さんに「何を一番大事にしたいですか?」と聞かれて初めて、自分に優先順位がないことに気づきました。それぞれ雰囲気が全然違う4件を前に、比較する軸すら持っていなかった。
そこからようやく自分と向き合って、決めた優先順位がこれです。
- 通勤時間が30分以内(満員電車に慣れていないので、せめて短くしたかった)
- オートロック・宅配ボックスあり(一人暮らしの安心感として譲れなかった)
- 家賃上限85,000円(管理費込み)
- 築年数・広さはその次
「バストイレ別」「洗面台も必要」...たしかにそんなお部屋に住んでみたいですよね。しかし、そのような物件はひとり暮らし用では限られており人気も高く、それだけで家賃がなかなかお高くなります。本当に妥協できない条件なのか、よく考えた方がよいです。
条件を決めてからは選ぶのが格段に楽になりました。最初に「何を諦めて、何を守るか」を決めること。これが家探しの第一歩だったと思います。2週間、無駄にしました。
失敗② 東京の家賃相場をなめていた
北海道感覚で「7万円あれば十分でしょ」と思っていた私は、現実を見て絶句しました。2026年現在、東京23区内で1Kを探すと、都心部(渋谷・港区近辺)では10万円超えが当たり前、山手線沿線でも8〜10万円台が相場です。7万円台で探せるのは東側エリア(足立・葛飾・江戸川区)や、埼玉・神奈川方面まで足を伸ばした場合が中心になります。
さらに近年は賃料が上昇傾向にあります。不動産情報によれば、東京都の1K平均家賃は8万円台前半と言われていますが、オートロック・宅配ボックスなど設備にこだわると9万円台になることも珍しくありません。
東京の1K家賃の目安(2026年)
| エリア | 家賃目安(1K) | 特徴 |
|---|---|---|
| 都心部(港・渋谷・千代田区) | 10〜17万円 | 利便性◎、家賃は最高水準 |
| 山手線沿線(新宿・池袋・品川周辺) | 8〜11万円 | バランス型、単身者に人気 |
| 中央線・東急沿線(中野・荻窪・三軒茶屋等) | 7〜9万円 | 住みやすさで根強い人気 |
| 東京東部(足立・葛飾・江戸川区) | 6〜8万円 | 23区内で比較的安め、下町の雰囲気 |
| 埼玉・神奈川方面(都心まで30〜40分) | 6〜8万円 | コスパ◎、通勤時間とのトレードオフ |
なお、私が上京した当時でも手取り19万円で家賃82,000円はギリギリでしたが、「通勤と安全」に投資したことは後悔していません。削れる固定費は他で削る、という発想の切り替えが必要でした。スマホのプランを見直したり、電力会社を乗り換えたり。家賃以外の出費を最適化していくことで、生活はちゃんと回るようになりました。
失敗③ 内見を不動産屋任せにした
最初の内見は、不動産屋さんの説明を聞きながら「なるほど〜」と頷くだけで終わりました。帰り道に「窓の外の音を確認してない」「収納の広さを測ってない」と気づいて愕然とした。
2件目からはスマホのメモを見ながら自分でチェックするようにしました。
- 携帯の電波を室内の隅々で確認する(建物の構造によって圏外になる部屋がある)
- 収納の奥行き・高さを実際にメジャーで測る(写真より狭いことが多い)
- 窓を開けて外の音を聞く(幹線道路沿いは深夜も騒がしい)
- 水圧を蛇口とシャワーで確認する(古い物件は弱いことがある)
- 日当たりを時間帯ごとに想像する(南向きでも隣のビルで日が入らないことも)
もし内見できるなら、そして内見後の夜に、一人でそのエリアを歩いてみることを強くおすすめします。昼間と夜とでは街の雰囲気が全然違う。夜に歩いて「ここなら一人で帰ってこられる」と確認してから、申し込みを決めました。
地方から上京する人の現実:内見がほとんどできない問題
ここで正直に言わなければいけないことがあります。
北海道から東京に内見に来るのは、簡単ではありませんでした。往復の交通費・宿泊費を合わせると1回で3〜5万円かかる。しかも内定から入社まで時間的な余裕もない。「何度も東京に来て物件を見比べる」なんて、現実的じゃなかった。
これは私だけじゃなく、地方から上京する人ほぼ全員が直面する問題だと思います。
現実的な対処法① オンライン内見を活用する
オンライン内見とは、実際に現地へ足を運ばず、スマートフォンやパソコンなどを使って不動産会社のスタッフとビデオ通話をしながら物件内部を確認できるサービスです。コロナ禍以降急速に普及し、遠方から引越しを検討している人にとって強い味方となっています。
私も最終候補の2件はオンライン内見を活用しました。担当者がスマホを持って実際に部屋を歩き回りながら見せてくれる形式で、Zoomを使うことが多かったです。
ただ、オンライン内見には限界があることも正直に伝えます。
- 画質の問題で、壁の細かいキズや汚れが見えにくい
- 部屋の広さや天井の高さなど「空間の感覚」が伝わりにくい
- 匂い(カビ・タバコ・ペットなど)はどうしても確認できない
- 夕方・夜間のオンライン内見は室内が暗くてほぼ何も見えない
対策として、オンライン内見後に「動画で撮影して送ってもらう」ことをお願いするのが有効です。スマホの動画は画質が良く、静止画より多くの情報が得られます。また、寸法(収納の幅・奥行き・天井高など)は数値で確認し、メモしておきましょう。
現実的な対処法② 1回の上京で複数の内見をまとめる
どうしても現地で確認したい物件は、「1泊2日で3〜4件まとめて内見」というプランを立てるのが効率的です。不動産会社に「遠方から来るので、同じ日にできるだけ多く内見したい」と事前に伝えると、スケジュールを調整してもらえることがほとんどです。
私は結局、最終的な決め手となった部屋だけ現地で確認しました。オンライン内見で絞り込み、1件だけ実際に見る——この流れが地方民の現実解だと思っています。
現実的な対処法③ 周辺環境はGoogleマップのストリートビューで補完する
内見できない分、Googleマップのストリートビューで物件周辺を「歩いて」みることをおすすめします。最寄り駅から物件までの道、夜の街灯の有無、近くのスーパーや薬局の場所——地図上だけではわからない情報が、ストリートビューでかなり補えます。完璧ではないけれど、何もしないよりずっとましです。
成功したこと 初期費用を事前に準備していた
唯一先手を打てたのが初期費用の準備です。上京前に調べて「家賃の4〜6ヶ月分かかる」と知っていたので、40〜50万円は用意しておきました。実際の見積もりは約45万円。敷金・礼金・仲介手数料・火災保険・鍵交換費が積み重なってその金額になりました。
準備していなければ完全にアウトでした。上京前の貯金は本当に大事です。就職先の会社で引越し費用負担となっていていても、建て替え(つまり本人が一度支払った上で、その金額を会社が支給する)なのか、引越し業者の紹介・支払いも会社が全て行なってくれるのかはとても大きな違いです。
初期費用を少しでも抑えたい場合は、敷金・礼金ゼロ物件やフリーレント(最初の数ヶ月家賃無料)の条件で絞り込むのが有効です。また、賃貸保証会社の選択肢を自分で持っておくと、不動産会社指定の保証会社を変更できる場合もあります。
どのサービスで探すか、も大事だった
物件探しに使うサービスによって、見られる物件が変わります。私はSUUMOしか使っていなかった時期があって、後からホームズを開いたら全然違う物件が出てきて焦りました。最低でも2〜3サービスを併用することをおすすめします。
各サービスの詳しい特徴や比較は、別ページにまとめています。
👉 【上京する人向け】大手賃貸紹介を徹底解説|SUUMO・ホームズ・アットホーム・エイブル
最後に:家選びは「生活の土台」
上京して4年、今の家に越して3年目になります。あのとき焦らず、失敗しながらも時間をかけて選んだ家が、東京での生活の土台になってくれました。「ただいま」と言える場所があることの安心感は、想像以上に大きかった。
地方からの上京だと、どうしても現地での下見に限界があります。でも、オンライン内見・ストリートビュー・数値でのサイズ確認を組み合わせれば、かなりのことは補えます。完璧な準備じゃなくていい。自分の優先順位を軸に、できる範囲で情報を集めて、納得できる選択をしてください。

