所得控除と税額控除の違い〜確定申告の豆知識【ふるさと納税はどっち?】

確定申告は個人事業主だけではなくサラリーマンにとっても関係する毎年恒例のイベントですね。しかし確定申告をしている場合、ふるさと納税の分も申告する必要があることを知っていますか?所得控除と税額控除は何が違うのでしょうか。ふるさと納税はどちらにあたるのか見ていきましょう。

ふるさと納税の結論

寄付金控除を受けるために確定申告書を作成する際に、知らないと迷ってしまいがちなのが「所得控除」と「税額控除」の違いです。国税庁の資料によれば、以下の記載を見つけることができます。

寄附金控除(所得控除)の適用を受けるか、寄附金特別控除(税額控除)の適用を受けるか、どちらか有利な方を選ぶことができます。

寄附金を支出したとき|国税庁

どちらかの方が有利なのか、その違いが余計に気になってきますね。

結論から先に述べると、ほとんどの方は"税額控除"を選ぶ方が有利です。有利というのは、「計算上の減税額が大きい=還付額が大きい」ということです。どうしてそう言えるのか、2つの控除の違いを踏まえながら見ていきましょう。

所得控除と税額控除の違い

寄付金控除という制度は、特定の団体への寄付をした場合、確定申告を行うことにより、所得税などの控除の対象になり一定額の還付を受けられる制度です。

この「所得税の控除」に「所得控除」と「税額控除」の2つの種類があり、確定申告の際にはどちらかを選ばなくてはなりません。どのような違いがあるのでしょうか?

控除額を算出する計算方法の違い

所得控除と税額控除では控除額を計算する式が異なります。

所得控除の計算:(寄付金合計額※1 ー 2,000円)を所得金額から控除
※1 年間の総所得金額の40%が上限

税額控除の計算:(寄付金合計額※1 ー 2,000円)× 40%を所得税額から控除※2
※1 年間の総所得金額の40%が上限
※2 控除額は所得税額の25%が上限

税額控除では2段階の上限が設定されていることに注意が必要です。

控除する段階の違い

上の図で計算式の違いはわかりますが、「所得金額」と「所得税額」はそもそもどのように違うのでしょうか。これら2つの違いは、税額計算の過程でどの段階での金額を減額するか、という点です。

税額計算の過程

この図を見てわかる通り、税率をかける前の「所得金額」を減らすか、税率をかけた後の「税額」を減らすかという違いになります。

控除金額のイメージ

所得税が所得の増加に伴い、税率が高くなっていくということはご存知かと思います。いわゆる「累進課税」という考え方ですね。ということは、所得控除は所得が高く税率が大きい場合に効果が大きくなることがわかります。

No.2260 所得税の税率|所得税|国税庁

一方で税額控除は所得に関わらず、寄附金額に対して税額の金額をほぼカバーする効果が得られます(2,000円除く)。

所得税の税率については、課税される所得税額が1,800万円以上で税率が40%、4,000万円以上で45%とされています。つまり、所得金額が4,000万円を超える分については所得控除の方がお得、ということになります。

実際には、課税控除の上限が税額の25%となりますから、全ての所得税分を寄付金でカバーすることはできませんから、その25%の壁を意識することが重要です。

税額控除の注意

実際の税額は他の様々な控除を経て算出されることに注意が必要です。他の税額控除としては、何もしなくても市町村ごとに控除される金額はもちろん、住宅ローン減税、総合課税の配当所得などがあります。

No.1200 税額控除|国税庁

寄附金額が高額であったり、算出された税額が小さかったりした場合には、寄附金による税額控除額が限度である25%を超過する可能性が高くなります。そのような場合、税額控除の効果を最大限利用できないことになるという点を把握しておく必要があります。

確定申告書類を記入するときの4つのポイント

寄付金控除の対象か

基本的な事項ですが、寄付した団体が寄付金控除の制度の対象になっているかどうかの確認が必要です。

例えばNPOの場合、5万を超える団体がNPO法人格を有していますが、寄付金控除の対象となる認定NPOはそのうちの1,087団体のみです。

ふるさと納税についても、過激な返礼品競争により寄付金控除の対象から外れてくる自治体も出てくるでしょうから、注意が必要です。

税額控除の対象になっているか

さらに細かい話になりますが、税額控除の対象となる団体は寄付金控除の対象よりも狭まります。

寄付金控除の対象となる法人の内で、公益財団法人、公益社団法人、社会福祉法人は、一定の要件を満たした団体のみが税額控除の対象とされています。ちなみにNPO法人であれば、認定NPO法人は全ての団体が税額控除の対象になっています。

確定申告書の用語

実際に確定申告書の作成に取り掛かると、紛らわしいのに意味が異なる言葉が出てきます。

  • 寄付金控除…寄付によって税控除を受けられる制度全般(専門用語ではない)
  • 寄附金控除…寄附により所得控除を受けることができる制度の名称
  • 寄附金特別控除…寄附により税額控除を受けることができる制度の名称
  • 政党等寄附金等特別控除…確定申告書上における寄附金特別控除を含む制度の総称

注意すべき点は、確定申告書を見た場合、「寄附金控除」の欄は所得控除を指すという点です。税額控除を選べる場合に誤って「寄附金控除」の欄に記載しないように気をつけましょう。

また、確定申告書上に税額控除を意味する「寄附金特別控除」という欄はありません。「政党等寄附金等特別控除」という欄が該当欄になりますので、よく確認しましょう。

住民税が控除の対象になっているか

寄付先の団体が住んでいる(納税先となる)都道府県や市町村から指定を受けている場合、住民税の控除対象となります。都道府県から指定を受けていれば都道府県民税が、市町村からも受けていれば都道府県民税と市町村民税の両方で控除を受けることができます。

ほとんどの場合、寄付先団体がその所在地である都道府県・市町村から指定を受けていますが、例外的に、所在地以外でも控除の対象となる場合もありますので、寄付先の団体HPをチェックするか、問い合わせて確認するようにしましょう。

まとめ

優遇税制の恩恵を受けるためには、制度を正しく理解して、最大限効果を得られるように活用することが必要です。

消費税増税など、家計への負担は増えていく一方ですから、少しでもお得になるように制度を活用していきましょう。

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