なぜ仮想通貨は流出するか?日本では4度目の流出、身を守る手段は?

2019年7月12日、仮想通貨交換所「BITPoint」から時価35億円相当の仮想通貨が流出したと報道されました。それにしても、実体のない仮想通貨が流出するとはどういうことなのでしょう?本日は仮想通貨の流出とはどういうことなのか、またその原因についての話題です。

仮想通貨の「流出」とは?

仮想通貨が「流出」するとは、仮想通貨が不正に盗まれることを指します。もし銀行で例えるのであれば、銀行に強盗が入って、預けていたお金が盗まれてしまうということです。

仮想通貨取引の仕組み

仮想通貨を取引する際には、「秘密鍵」と呼ばれる特別な英数字が必要となります。「秘密鍵」は口座ごとに発行されており、この「秘密鍵」を使うことで仮想通貨を別の口座へ移動させることができます。そのため、この「秘密鍵」が他人に知られてしまうと、他人が仮想通貨を自由に送金できるようになってしまい、盗まれてしまいます。

つまり、仮想通貨が「流出」してしまうということは、この「秘密鍵」が意図せず他人に知られてしまうことが原因です。通常ではこの「秘密鍵」は他者にはわからないように厳重に管理されているのですが、何らかの方法で悪意のある他者に渡ってしまうと仮想通貨が知らぬ間に別の口座へ移されてしまうのです。

過去の仮想通貨流出

日本でも過去に仮想通貨が流出する事件が起きています。もっとも有名な事件は2014年にMT.GOX(マウントゴックス)という取引所で発生した流出で、MT.GOXはこの流出事件により取引所を一時閉鎖し、2018年には民事再生手続に至りました。

日本での仮想通貨流出事件は以下の表の通りです。今回のBITPointの事件は日本では4度目の流出となります。

時期仮想通貨交換業者流出時の時価対象通貨
2014年2月MT.GOX114億円BTC
2018年1月CoinCheck580億円NEM(XEM)
2018年9月Zaif70億円BTC/BCH/MONA
2019年7月BITPoint35億円BTC/BCH/ETH/XRP/LTC

流出の原因

取引所に仮想通貨を預けている場合は、取引所が「秘密鍵」を管理しています。取引所には多数の顧客の秘密鍵を保管されているため、ハッカーから狙われやすくなっています。ハッカーは様々な罠(ハッキング、フィッシング、ウイルス感染、標的型攻撃など)を仕掛け、秘密鍵を盗み取ろうとしています。秘密鍵を盗み取られないよう、取引所では高度なセキュリティ対策を実施しなければなりません。

多くの取引所ではハッキングされてもハッカーが「秘密鍵」にたどりつけないよう、外部のネットワークから切り離した媒体に「秘密鍵」を保管しています。この仕組みを「コールドウォレット」と呼びます。国内では最大の流出金額となるCoinCheckのNEM流出事件では、この「コールドウォレット」の対策が取られていなかったことが流出の原因のひとつでした。

今回の事件の経緯

仮想通貨交換所「BITPoint」を運営しているのはビットポイントジャパンというリミックスポイントの子会社です。

ビットポイントジャパン社が異変に気づいたのは7月11日22時過ぎ。仮想通貨「リップル」の送金でエラーを検知し、情報システム部門などで調査をしたところ、22時39分にリップルの不正流出が確認されました。7月12日の2時にリップル以外の仮想通貨の流出も確認され、10時30分に仮想通貨の売買・交換を含むすべてのサービスを停止させています。

流出した約35億円分の仮想通貨の内訳は約25億円が顧客からの預かり分、約10億円がビットポイントジャパンの保有分でした。仮想通貨はオンライン上で保管する「ホットウォレット」、オフライン環境下で保管する「コールドウォレット」の2つのうち、流出したのはいずれもホットウォレットで保管していた仮想通貨でした。

仮想通貨流出に対する業者の対策

仮想通貨については国内仮想通貨交換業者が相次いで流出事故を起こしたことから、ルールの目的化や制度整備を目的に資金決済法と金融商品取引法の改正が5月31日に国会で成立。改正法には仮想通貨をコールドウォレット等で管理することの義務化が盛り込まれていました。改正法は2020年6月までに施行されることとなっており、今回の事件ではその狭間を狙われたことになります。

仮想通貨への投資のメリット?

ビットコインなどメジャーな仮想通貨は決済(代金の支払い)手段として使われている一方、まだまだ投機的な取引が多いようです。その点ではFXに似ているかもしれませんね。

Facebookで新しい仮想通貨「Libra」を作ろうという動きがあり、もしLibraが実現すれば、仮想通貨の法的地位は劇的に変わるかもしれませんね。その話題はまだ後日。

「仮想通貨取引所の選び方がわからないよ!」という方は、この記事を読んでみてくださいね。

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