Zaif、仮想通貨取引所やめるってよ

テックビューロ株式会社は2019年8月22日、仮想通貨交換業を廃業すると発表しました。テックビューロはかつて仮想通貨取引所「Zaif」を運営していたものの、2018年9月にハッキングによって約70億円相当の仮想通貨が流出。同年11月にはZaif事業をフィスコ仮想通貨取引所へ譲渡し、事実上撤退していました。

Zaifの流出事件とは

テックビューロによれば、ハッキングを受けたのは、入出金用のホットウォレットを管理するサーバでした。2018年9月14日ごろから仮想通貨の入出金サービスなどに不具合が発生、サーバの異常を検知したのは17日。翌18日になりやっとハッキング被害を確認しました。サーバへの不正アクセスは、14日午後5時ごろ~午後7時ごろに起きていたとのこと。被害はサーバで管理されていた「ビットコイン」「モナコイン」「ビットコインキャッシュ」の当時の時価で約70億円(うち顧客資産は約45億円)でした。

金融庁からは「不正の検知に(14日から3日間も)時間がかかっているのは問題外」との声が上がり、18日に同社から届け出を受けていましたが、報告内容は「全てにおいて不十分」(同庁)だったと厳しいお叱りを受けていました。

実は流出の前にも、金融庁は、テックビューロに対し、2回の業務改善命令を出してきました。2018年3月にシステムリスク管理体制について、6月にマネーロンダリング対策及び顧客資産と同社資産の分別管理体制について、不備を指摘し改善計画を提出させていました。進捗していた点があったとはいえ、そのような対応の最中、Zaifは流出被害を受ける格好となりました。

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テックビューロ廃業への流れ

テックビューロは2017年11月、改正資金決済法に基づき、金融庁の登録を受けた業者です。流出事件以降、金融庁からは「資金決済法によれば、登録の取り消し、業務の一時停止といった手段も考えられる。検査を続け、把握した状況を踏まえ、必要な対応を取る」とも言われていました。

2018年11月には、Zaif事業はフィスコ仮想通貨取引所へ譲渡され、取引所としての機能は継続していました。

テックビューロは事業譲渡を完了させており、今後の動きとしては、仮想通貨交換業の登録を廃止した上で、解散の手続きを行うことになります。

なお、フィスコへの口座移動に承認していなかったユーザーは、テックビューロに口座が残っている状態です。これらのユーザーに対しては、9月2日から11月30日の期間に日本円で返金を行う予定となっています。

また、Zaif自体はすぐに仮想通貨取引所をやめるわけではありませんが、後述の通りその懸念があります。

Zaifの話題

Zaifでは過去にもトラブルや炎上が発生しています。

0円バグ

2018年2月16日よりZaifの簡単売買で、ビットコインが一時的にゼロ円で売買できてしまう状態が発生しました。 21億ビットコインの注文が取引所の板に一瞬にして出現し、これはなんと当時の時価で2246兆円にあたります。Zaifで実際に0円でビットコインを購入できたのは7人と言われていますが、その対応方法がアカウントロックにより無理やり取引を停止させるという非常識な対応で、世間で大きな批判を呼びました。

取引としてはアービトラージと呼ばれる正当なもので、たとえバグにより他の取引所の価格と乖離があったとしても、不当に取引所が関与すべきものではありませんし、まして取引をなかったことにすることで補償から免れようなど論外です。

フィスコ譲渡記念のパーティ

70億の流出後、フィスコへZaifの譲渡を完了した2018年11月22日に「新生Zaifの展望と仮想通貨、トークンエコノミーの未来を語る!」という記念パーティが開催されることが明らかとなり、世間で批判を浴びることになりました。

2018年11月6日、フィスコはZaifの口座保有者(およそ73万口座)に対し、先の立食パーティーの案内をメールで配信。9日の朝10時までにアンケート回答を条件に応募ができ、応募多数の場合には抽選により参加者を決めるとしていました。イベント当日の会場は「都内近郊」とだけ記され、参加費は「無料」。仮想通貨に詳しい複数のゲストを豪華に迎えるとしており、200名の定員が予定されていました。

フィスコへの事業譲渡により顧客補償に道筋をつけることができたとはいえ、顧客への説明が十分に行われないまま事が運んだことに対して、利用者からは怒りの声が相次ぐ中での盛大なパーティ開催通知でしたので、無神経ぶりや世間との感覚のズレを批判する声が上がりました。結局、パーティは延期と公表されることになりました。

Webサービスの障害

2019年8月23日よりZaifのWebサービス(入出金サービスやチャート描画)が不安定となっています。この事象はWebで使用されている「Amazon Web Service(AWS)」で機器発熱に起因する障害が東京リージョンで起きたことによるものであり、今回の仮想通貨取引所廃業とは直接関係のない事象となっています。

Zaifに代わる取引所

今回のニュースはZaifを元々運営していた「テックビューロ株式会社が仮想通貨交換所を廃業する」というもので、Zaif自体はしばらく継続します。しかし、2019年8月13日にはZaifとフィスコ仮想通貨取引所は統合することが発表されており、今後Zaifとしてのサービスは終了が予想されています。

そのため、サービスや画面の使い勝手などで選んでいたZaifユーザーは、メインの取引所として別の取引所を使う必要が出てきます。そのため、Zaifを統合ギリギリまで使い続けるよりは、早めに移行し、徐々に移行先のサービスに慣れておくことをお勧めします。

私自身、今となっては仮想通貨取引と距離を置いていますが、個人的には、Zaif利用者は他サービスへの切り替えを速やかに検討するべきだと思っています。

以前の記事で取引所の比較を行なっていますので、少しでも参考になれば幸いです。

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