2019年11月、Appleは新型の16インチMacBook Proを発表しました。単にディスプレイサイズが大きくなっただけでなく、プロフェッショナルのための端末として、いくつかの変更が加えられました。今回は噂の16インチモデルの特徴をみていきましょう。
16インチMacBook Proの発売
今回発売された2019年lateモデルはMacBook Proの製品ラインナップの変更です。2019年11月13日、今までの15インチモデルをリプレイスし、16インチモデルを発売するという、発表が行われました。そして翌日の11月14日からApple Storeにて発売開始となっています。
クリエイター・研究者の方々をはじめ、コアなMacユーザにとって今回の発表は見逃せません。大きくなったディスプレイ、精緻に表現されたグラフィック、ユーザビリティが大きく向上したキーボードと、充実した機能がよりクリエイティブな創作への導きを可能にしてくれます。
Macに馴染みの薄いユーザにとっても魅力的な商品です。大きく美しくなったMacBook Proはオシャレな見た目だけでなく、使うたびに喜びを感じられることでしょう。高級オーディオのような高品質なサウンド、市販モデルでもさらに拡張されたSSDのストレージ、シリーズ最長レベルのバッテリーと、ユーザへ不都合を感じさせる要素はありません。
まずは2019年夏モデルとスペックを比較してみましょう。
MacBook Pro 16-inch, 2019(Nov.) | MacBook Pro 15-inch, 2019(Aug.) | |
CPU | 第9世代2.6GHz 6コアIntel Core i7 or 第9世代2.3GHz 8コアIntel Core i9 | 第9世代2.6GHz 6コアIntel Core i7 or 第9世代2.3GHz 8コアIntel Core i9 |
メモリ | 16 GB | 16 GB |
ストレージ | 512 GB(SSD) or 1 TB(SSD) | 256 GB(SSD) or 512 GB(SSD) |
グラフィックス | AMD Radeon Pro 5500、Intel UHD Graphics 630 | AMD Radeon Pro 555X、Intel UHD Graphics 630 |
サイズ | 高さ1.62 cm x 幅35.79 cm x 厚さ24.59 cm | 高さ1.55 cm x 幅34.93 cm x 厚さ24.07 cm |
重量 | 2.00 kg | 1.83 kg |
バッテリー | 11時間 | 10時間 |
価格 | 317,680円(税込) | 313,480円(税込) |
超高性能であることは疑う余地もありません。ここからは、プロの要望に応えた、今回のMacBook Proの特徴をおさえていきましょう。
ちなみに13インチモデルの購入レビューはこちら。
16インチのMacBook Proの特長
ここからは、プロの要望に応えた、今回のMacBook Proの特徴をおさえていきましょう。
- キーボード構造
- 本体サイズ
- 重量
- Touch Barとキーボード
- バッテリー
- グラフィックス
- オーディオ
キーボード構造
2016年10月に発売されたモデルから、MacBook Proにはバタフライ構造キーボードが搭載されています。しかし、このキーボード、すごぶる評判が悪い。というのも、バタフライ構造キーボードはチリやホコリに弱く、内部の隙間に入り込むことでキーが反応しなくなるという問題が多発しています。2018年モデルからはだいぶ改善されましたが、それでも独特のキータッチに難色を示すユーザーが多かったのです。
今回のモデルではバタフライ型キーボードからMagic Keyboardに変更されました。Magic Keyboardといえばデスクトップ型のiMacではすでに搭載されおり、ワイヤレスのキーボードとしてご存知の方もいるでしょう。Magic Keyboardはシザー構造となったことで、ユーザは自身でキートップを外し掃除することが可能になり、キーボードに関する動作不良の対応が格段に容易となりました。
本体サイズ
16インチになったことで、本体が大きくなりました。とはいえもともと15インチのモデルでも実際の面としては15.4インチだったため、ディスプレイとして過剰に大きくなったという印象は感じられません。
むしろ気になるのは本体の分厚さ。ディスプレイ部分が厚くなったというよりは、キーボード側の厚みが増しているようです。パームレストの高さに敏感な方であれば、注意が必要かもしれません。
重量
16インチになったことで、本体の重量が若干大きくなりました。またいくつかのスペックの向上に伴い、15インチの1.83 kgから16インチでは2.00 kgと重くなりました。この程度の差であれば、さほど気になるものではないかもしれません。
通常、モバイルノートPCは1 kgを下回る程度の重量です。一方、MacのノートPCはAirも含めて1.2 kg以上であることから、MacのノートPCの思想としては多少重量が増しても、高性能マシンとしての利便性を重視するという考えが読み取れます。
Touch Barとキーボード
2019年モデルより、MacBook Proからファンクションキーの列が消滅し、全てのモデルでTouch Barに置き換わりました。当然のように同じ列に並んでいた、Escキー(エスケープキー)がなく、古いモデルと比べると光学ドライブがなくなっているということでイジェクトボタンはありません。Escキーはプロの方はいろんな場面でよく使うキーですから、この修正は地味に悪評判を買っていました。
今回のモデルでは、Touch Barの幅が少しだけコンパクトになり、代わりにEscキーが復活しました。あまり目立たないですが、クリエイターの方にとってはとても助かる改善となっていますね。
バッテリー
バッテリー稼働時間は15インチの10時間から16インチでは11時間と長くなりました。とはいえ、もともと15インチでも10時間が持たない印象で、今回の16インチから実際に10時間程度持つようになったといえるのではないでしょうか。
本モデルではバッテリー容量は99.8 Wh(11.36 V, 8,790 mAh)で、米連邦航空局が定める航空機に持ち込み可能な100Whぎりぎりのサイズです。他のモデルと比べると、15インチMacBook Proより16.2 Wh、17インチMacBook Proより4.8 Wh増加しており、MacBookシリーズとしても最大となっています。
グラフィックス
グラフィックスも進化しています。搭載されているAMD Radeon Pro 5000Mシリーズは前世代の2倍以上高速で、超高精細度ビデオもシームレスに再生可能、レンダリングも高速化しました。
リプレイスされた15インチの同型CPUモデルと比べるとベンチマークで6%以上早くなっており、さらなる進化を遂げたことは間違いありません。
オーディオ
通常のノートPCのスピーカーでは今回のMacBook Proには及びません。6スピーカーサウンドシステムを搭載している上、デュアルフォースキャンセリングウーファーがシステム自体の振動を大幅に低減します。さらに低音に半オクターブ低い音を追加し、よりクリアな音域を表現できるようになっています。
ウーハーが対称に配置されており、本体の振動を打ち消す構造になっています。2018年のMacBook Air同様、本体に内蔵されたマイクは3つですが、マイクが大型化しており、集音機能も向上しています。
新型のMacは必見!
動画編集ソフトの本家Adobeがサブスクリプション化されたことで、プラットホーム選択の自由度は飛躍的に向上しました。その一方、グラフィックスなどでマシンパワーを極限まで必要とするプロのクリエイターは、スペックの向上が著しいゲーミングPCを活用するようになり、デスクトップ・ノートのいずれにおいてもMacを使う明確な理由を見いだすことが難しくなりました。
そのような状況下、AppleはiMac Proの新規投入、Mac miniのハイエンド化、Mac Proの更新と、Macシェアの復権のために矢継ぎ早に施策を打ち出してきました。真のプロを振り向かせるMacラインナップ戦略の集大成が16インチMacBook Proということができるでしょう。
最高モデルではCPUに第9世代の8コアi9が搭載されるようになり、総じて昨年のモデルと比べてスペック上は大きく変わらず、性能向上の上限に近いことが想像に難しくありません。そうだとすると、メリット・デメリットは色々ありますが、完成度が高く、見た目も使い勝手もよい今回のMacBook Proは本当に素晴らしい出来だといえますね。
Touch Barという新しいインターフェイスが完全搭載された今こそ、新しいMacを体感する大きなチャンスだと言えるのではないでしょうか?
16インチのモデルが気になる方はこちらから。
また、もう少し小型のモデルでは13インチのMacBook Proをチェックしてみてくださいね。
パソコン選びのためには・・・?
新しいパソコンを買うコツは、おさえておくべきポイントを踏まえ、しっかりとリサーチを行うことが重要です。以下の記事ではパソコンの買い方のポイントを紹介していますから、MacBook Proの最新モデル購入にも役立ててくださいね。