新生活をはじめるにあたり、最初の大仕事といえば一人暮らしのための準備です。それまでお世話になった人への挨拶や新生活の準備に追われ、ゆっくり部屋選びをしている時間がないという方が実はとても多いのです。実際に住み始めてから後悔しないためにも、ここでは一人暮らしの部屋選びのポイントを見ていきましょう。
お部屋選びのポイント
まずは一般的な住まい選びのポイントを押さえておきましょう。
本記事では新しく一人暮らしを始める方や引っ越しを考えている方に向け、実際に住みはじめてから後悔しないように、より自分にあった物件選びのポイントを紹介していきましょう。
一人暮らしの部屋選びのコツ
実際の間取りのポイントを見る前に、特に一人暮らしの部屋選びで注意すべきポイントを見ていきましょう。
引っ越しまでの予算
一人暮らしを始める方がまず気になるのが入居までにかかる予算です。特に初めて一人暮らしをする方にありがちなのが、入居までにかかる予算の見積もりが甘く、入居後数か月の生活が苦しくなるというケースです。実際に入居するまでにかかる費用はおおまかに以下のように分けることができます。
(敷金 + 礼金 + 1月分の家賃)
+ (不動産仲介業者へ支払う紹介料 + 契約にかかる費用)
+ (引っ越し費用)
+ (家具・家電等の購入費)
敷金・礼金および最初の家賃は不動産物件のオーナーさんへ支払う費用となります。多くの場合、敷金・礼金を合わせても2.5か月分の家賃に収まるようになっています。そのため物件のオーナーに対して家賃3.5か月分の費用が必要となります。
次に不動産物件を紹介してくれた仲介業者へ支払う紹介料が必要です。多くの場合、紹介料は2か月分の家賃として計算されることが多いです。また、不動産賃貸契約にかかる諸費用も必要です。賃貸契約自体は物件を借りるあなたと物件オーナーさんの間で結ぶのですが、その契約にかかわる印紙代や調査費用などが追加で必要となります。不動産紹介業者に対して家賃2か月分の費用+3万円程度が必要になります。
引っ越し業者への依頼も意外に多くかかります。固定費用 + 段ボールで何箱の荷物があるかというように計算されます。荷物の数にもよりますが、1人暮らしの荷物の量ではおよそ35万円程度が必要となります。新卒で社会人となる方は、会社側が指定した業者を利用することで、引っ越し料金を負担してくれるところも多いようですね。
最後に新居で必要な家具・家電類の購入が必要です。例えば布団やベッドは引っ越してすぐに使う必要があるでしょうし、テレビや洗濯機などの家電もないと困る方が多いでしょう。大衆的な家具・家電で一式をそろえようとすれば、寝具・テーブル等で3万円、冷蔵庫・掃除機・洗濯機・テレビで8万円程度が必要となります。こだわりのお部屋を目指すのであれば、さらにプラスαとなります。
東京都周辺のワンルームの家賃相場は7.5万円がひとつの基準です。もし一か月の家賃が7.5万円であれば、新しく一人暮らしを始めるのであれば、費用の見積もりとしては物件オーナーへ27万円、不動産業者へ18万円、引っ越し費用で35万円、家具・家電類の購入で11万円で、合計91万円程度となります。
物件オーナーや不動産業者への支払いは現金での支払いが必要がほとんどですが、引っ越し費用や家具・家電類の購入はクレジットカードのボーナス払いを利用することで、支払いを後ろにずらすことが可能です。ネット通販の購入でボーナス払いを行うのであれば、家具ならニトリ、家電ならヨドバシ.comなどで可能です。クレジットカードのメリットについては以下の記事も読んでみてくださいね。
敷金・礼金0の物件はどうなの?
物件を探していると敷金・礼金ともに0円のいわゆる「ゼロゼロ物件」があることに気が付くと思います。このような物件を借りることに問題はないのでしょうか?
そもそも「敷金とは部屋を退去するときの原状回復費用(部屋を住む前と同じ様にキレイにする費用)として、入居前に払うお金」のことです。敷金の相場としては家賃一か月から二か月程度となります。敷金はあくまで原状回復のための前払費用ですから、原状回復にかかる費用が敷金よりも低い場合には、返還してもらえます。また礼金にはあまり合理的な説明はないのですが、一般的には「礼金とは物件のオーナーに対して貸してくれたことに対する謝礼」としての位置づけのものです。昔は見ず知らずの人から部屋を借りるのに一苦労という時代でしたから、その名残として感謝の意味で「礼金」を支払っているのです。礼金の相場は家賃の一か月程度です。
ゼロゼロ物件であっても、退去時に部屋の原状回復費用は必要なことが多いです。この費用を入居時に支払うのが敷金、退去時に支払うのがゼロゼロ物件といえます。また、まれに様々な事情で原状回復費用すら貸主が負担してくれる場合があります。例えば事故物件などが典型で、事故物件は事故事象が発生してから別の人が入居しているなど一定の条件を満たさなければ、「事故物件」である事実を契約時に貸主へ知らせなければなりません。もちろん事故物件を積極的に選び人は少ないので、貸主が金銭的な負担をすることで入居を促すことがあります。
もし気になる物件がゼロゼロ物件であった場合、ゼロゼロ物件である理由や、あらかじめ原状回復費用の取り決めを確認しておきましょう。
アパート?マンション?どっちがいいの?
アパートとマンションのどちらを選ぶべきかという問題があります。実際に一人で住んでみて気になる差異といえば防犯対策がされているか、防音性は高いかという点ではないでしょうか?アパートとマンションの特徴を比較してみましょう。
アパート | マンション | |
家賃 | 安め | 高め |
部屋数 | 少ない | 多い |
階数 | 3階以下 | 4階以上 |
防犯性 | 低いことが多い | 高いことが多い |
防音性 | 低め | 高め |
比較してみると相対的にはマンションの方がしっかりしているといえます。マンションの場合、共用玄関にオートロックのドアや防犯カメラが設置されていることが多く、セキュリティ面での対策が行われています。また、最近のマンションの共用玄関には宅配ボックスがあることも多く、不在時でも荷物を受け取れる点は便利です。特に一人暮らしの女性の方はセキュリティ面を重視することが多いでしょう。
木造ってどうなの?
木造が鉄筋コンクリートの物件に比べて明確に劣るのは耐火性・耐震性です。地震の多い地域では建物の倒壊などが気になるかもしれません。また、木造の場合は防音性なども低いことが多いため、可能であれば木造の物件は避けたほうが良いかと思います。
築年数は気にしたほうがいいの?
一般に築年数を気にする理由としては耐震性の観点によるものです。しかし一人暮らしで気になるのは新しい物件の方が共用部が充実しているかという点でしょう。オートロック付きの扉や24時間投函できるゴミ捨て場があるのは、結局新しい物件です。
1階を避けるべきというのは本当?
一人暮らしでセキュリティを気にする方は避けるべきです。セキュリティ以外の理由でも、湿気が多くなりがちで、虫が多く出やすいのは1階です。逆にこれらの点が気にならないのであれば、1階は家賃は他の階よりも安くなっていることが多いので、お得であるといえます。
駅から徒歩10分って遠い?
よく言われますが駅から〇分というのは直線距離で歩いた距離で、必ずしも道なりに歩いているとは限りません。例えば地図上は近くても坂が多いために表示距離よりも時間がかかることはよくあります。また、駅からさほど遠くなくても駅前のお店がさびしければ、買い物は別の場所で行う必要があります。可能であれば物件選びの時点で周囲の生活環境や買い物エリアをチェックしておきたいものです。
内見ってした方がいいの?
初めてお部屋選びをするのであれば、間取り図から家具を置いて生活するための間取りをイメージすることは難しいでしょう。他にも洗面台や洗濯機のスパン、クローゼットの様子などは実際に見ないとわからないものです。すぐに引っ越しが必要などの理由で内見する時間がない場合もありますが、可能な限り内見はした方がよいです。
部屋選びから入居までの期間はどれくらい?いつ始めたらいいの?
通常であれば、新しく入居するまでに2か月前くらいから準備を始めておく必要があります。です。
2か月前~1か月前に準備すること
新居を決める |
必要な家具・家電類の見積もり、準備 |
引っ越し業者の予約 |
退去する際に捨てるものの整理をはじめる |
一人暮らしを始めるには、可能であれば2か月前くらいから準備をはじめておきたいものです。特に4月入居は他に人も同時に動くため、準備が難しいです。具体的には、「よい条件の物件がすぐに埋める」「引っ越し業者が予約できない」「家具・家電が品薄・品切れとなり、お届けが遅くなる」といったことが起こりがちです。このようにならないためにも、できるだけ早く準備に取り掛かりたいものです。
1か月前~1週間前に準備すること
新居のライフライン(水道・ガス・電気)の申し込み |
新居のネット契約の申し込み |
新居に入ってからないと困るもので、少し準備が遅くても大丈夫なことは1週間前には済ませましょう。ライフラインは不動産仲介業者が紹介してくれることもありますので、積極的に相談してみましょう。しかし、インターネットだけは紹介を信用してはいけません。例えば都内のある賃貸マンションでは、光回線があるにもかかわらず、仲介業者にをインターネット回線としてケーブルテレビの回線を紹介されます。ケーブルテレビの回線は割高かつ遅く、遮断などのトラブルが比較的多いのです。また光回線も同じマンションの人の利用状況では遅くなることが多く、ポケットWiFiの利用をおすすめします。
1週間前~直前に準備すること
現在の住居のライフライン・ネット契約の解約 |
新聞その他の解約または新住所への変更 |
現在入居している環境の整理が直前までに行うことになります。忘れがちですが、住所変更登録をしておくと、旧住所へ届いた郵便物を新住所に届けてくれますので、行っておきましょう。
不動産屋さんって予約は必要?
例えばアパマンショップやSUUMOでは営業時間内であれば、店頭の混み具合によっては対応してもらえます。しかし、他に予約があれば予約されている人が優先されますので、あらかじめ予約することが望ましいことは間違いありません。気になった物件があれば、メールでも条件の近い物件を紹介してもらえますので、積極的にコンタクトをとってみましょう。
審査ってなに?
部屋を借りるにあたり、「月々の賃貸料をしっかり支払ってくれるか、支払うだけの能力があるか」というチェックのための審査が行われます。それほど厳しい審査ではないのですが、収入がない方・過去に支払いを延滞したことがある方は審査に通らない場合もあります。
入居にあたりするべきことは?
一般的には入居直後には電気・ガス・水道の手配が必要です。インターネットはポケットWiFiの利用がお勧めです。一人暮らしにあたり特別に必要なものはありませんが、実家と異なり全て自分で行うことが必要ですよ。
部屋を選んでみる
物件に求める条件を考えよう
部屋選びのポイントは以下の5点です。
セキュリティ
部屋数
生活動線
室内設備
これらのポイントをひとつずつ見ていきましょう。
共用部分の設備です。忙しい方であれば決まった曜日に決まった時間までに出す必要のあるゴミも、共用部に24時間捨てることのできるゴミ捨て場があればとても便利です。通販サイトでの買い物が好きな方であれば、不在時にも受け取ることのできる宅配ボックスがあった方が便利ですよね。
セキュリティが気になる方にとっては、セキュリティ面を重視することになるでしょう。共用部分のオートロック扉や防犯カメラはもちろん、そもそも物件がある周辺の治安や駅からの道の明るさが気になるでしょう。また、1階の部屋や、窓・ベランダのすぐ向かいに別の建物の窓や階段がある部屋も避けることになります。
一人暮らしであれば、居住のための部屋数は1部屋か多くて2部屋になるでしょう。趣味のグッズ集めが好きな方や、最近流行りの動画配信を行っているような方は、生活空間と独立した空間が必要になりますよね。
生活動線というとわかりにくいですが、要は家具・家電類をすべて配置した際に、使いやすい部屋になるのかです。人によって「テーブルは絶対椅子付きじゃないと嫌だ!」「ベッド以外ありえない!」という方もいるでしょう。家具の配置によっては一部屋なのに、ぐるっと一周する必要のある配置にならないよう決めたいところです。
室内設備にもいろいろあります。玄関の収納スペース、洗濯機を置くスパンのサイズ、室内乾燥機の有無など気になる点は多いですね。他にも例えば料理好きな方なら「コンロはIHでは火力が出ないし3面ないと困る」「大型の冷蔵庫を置きたい」ということになるでしょう。また、トイレとお風呂が別か、洗面台はトイレやお風呂と独立しているのかなども気になるところです。
ワンルームか、1Kか?
違いがわかりにくい一人暮らしの間取りですが、一般には以下のように分類されています。
特徴 | |
ワンルーム | キッチンが部屋と一体化しており、ドアで区切られていない |
1K | 4.5畳以下のキッチンスペースがあり、部屋がドアと区切られている |
1DK | 4.5畳~8畳のダイニングキッチンがあり、部屋がドアと区切られている |
1LDK | 8畳以上のリビングダイニングキッチンがあり、部屋がドアと区切られている |
ワンルームと1Kの違いは、キッチンと一体化していればワンルーム、ドアにより空間が区切られていれば1Kというわけですね。また、1K・1DK・1LDKの違いも、キッチンスペースがどれくらいの広さとなっているのかということになります。
インターネットで困らないために
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