黒字でも倒産する、本当は怖いキャッシュフローの罠

実は最近、個人や中小企業を中心に倒産が増えています。景気はまだ悪くなっていないのに、どうやら需要に応じきれないとか資金が不足しているんだとかで倒産する状況に追い込まれるんだとか。ということで、今日の話題は「黒字でも倒産する理由」についてです。

黒字でも利益が出ていても倒産する

そもそも「倒産」とはどういう状態でしょうか?

一般的に「倒産」とは、企業が債務の支払不能に陥いる、または経済活動を続けることが困難となった状態のことをいいます。「法的倒産」と「私的倒産」の2つに分けられ、「法的倒産」では再建型の「会社更生法」と「民事再生法」、清算型の「破産」と「特別清算」に4種類に分けられます。

言い換えれば、倒産とは「企業が経済的に行き詰まり支払能力を喪失し、その結果、事業の存続が不可能な状況」といえるでしょう。

しかし、倒産する企業というと赤字になっている企業を想像してしまいますが、実は利益が出ている黒字の企業が倒産することもよくあることなのです。

黒字倒産という言葉を聞いたことがあるかもしれませんね。これは、損益上では黒字の状態であるにもかかわらず、資金繰りの関係で倒産してしまうことを指します。「勘定合って銭足らず」という状態です。

一方で赤字決算であるにも関わらず、倒産しない企業も多数存在しています。実は損益上で赤字になってもすぐに企業が倒産するわけではないのです。

なぜ資金繰りが悪化するのか?

資金繰り悪化については以下の原因が挙げられます。

  • 赤字経営
  • 過剰投資・投資失敗
  • 売掛債権の貸倒
  • 在庫の増加
  • 回収期間、支払期間のサイクル悪化
  • 借入返済額の増加
  • 売り上げの急激な増加・減少
  • 資金繰り管理の怠慢

赤字経営では単純にお金が不足するため、資金繰りが悪化します。過剰投資や投資プロジェクトの失敗も同様です。

在庫の増加は回収期間や支払期間と密接な関係があります。「仕入から販売に伴う現金回収までの日数」はキャッシュ・コンバージョン・サイクルとしてよく知られていますが、この日数が多くなるほど仕入分の現金を回収するまでの期間が延びて、資金繰りを悪化させる原因となります。

借入返済額が企業の支払い体力限界に近づくことは、企業の借入と返済が「自転車操業」の状況に陥っていることを示し、さらなる資金繰り悪化の原因となります。

売上の減少が在庫増加を引き起こし資金回収を妨げるのは想像できますが、実は売上の大きな増加も資金繰りを悪化させます。これは、売上に先立ち、仕入れのコストが発生するためであり、売上の急激な増加に対応するということは、コストの急激な増加を引き起こすのです。

キャッシュフローを改善するには

固定費を下げる

もし資金繰り悪化の原因が売上の減少であれば、固定費をまず見直すことが重要です。特に売上減少が一時的なものでなく、恒常的なものである場合には、固定費を見直して、適正な状態に「スリム化」することが必要です。

資金回収を早める

どうしても発注企業の方が受注企業よりも、力関係が強くなってしまうため、発注企業の支払いサイトに応じて契約をしなければならないことが多いのですが、状況によっては回収期間短縮の交渉に応じてくれるケースもあります。交渉に応じてくれるケースというのは、顧客にとってあなたの会社が必要不可欠な存在であるときです。十分な信頼関係を築けている場合は、交渉してみるのも一つの方法です。

売掛金を現金化する

ファクタリング・手形割引を利用するという方法があります。ファクタリングは売掛債権の早期資金化、手形割引は手形の早期資金化をするための資金調達方法です。いずれも、手数料が発生するため受け取れる金額は少なくなりますが、期日前に入金があるので、経営状況によっては資金繰りの改善に役立ちます。

支払いを延ばす

キャッシュフローを改善する3つ目の方法は、支払い、つまり現金の流出するタイミングを後ろに延ばすことです。

最もわかりやすい例は、買掛金を利用することです。例えば商品の仕入れを例とすれば、仕入れに対する支払いを「現金」ではなく、一定期間内に支払うことを条件に「後払い」することです。現金での支払いは受け取る方も煩雑となるため、掛取引はほとんどの取引で慣習的に用いられていることでしょう。

外注先の回収期間を延ばすことで、入金までの期間とそろえてしまえば、資金繰りの悪化は食い止められます。すでに契約済みの外注先にも、回収期間をのバズ交渉をしましょう。支払いを小切手で支払う方法もあります。

支払いのタイミングを後にずらす他の手段として、クレジットカードを使用して決済することも効果的です。クレジットカードを使用することで、平均で30〜45日程度、支払い期日を後ろにずらすことができます。

ビジネスでクレジットカードを使うメリットには以下の記事でも紹介しています。

ビジネスカード・法人カードのメリット・デメリット〜カードを使うべき理由
法人や個人事業主の方がビジネスカードを作ることを検討している中で、様々な疑問を感じているケースもあるようです。ビジネスカードにはビジネスの手助けとなるメリットが数多くあるのですが、今回は、ビジネスカー...
error: Content is protected !!