CFA受験記〜勉強法・当日の持ち物・試験会場の様子〜Level1初受験の報告

CFA資格の勉強

Chartered Financial Analyst(CFA)といえば、数ある金融系の資格の中でも屈指の難度を誇る業界資格です。今回、友人の影響でCFA受験に初めてチャレンジしてきました。資格の概要・勉強法・当日の持ち物や試験会場の雰囲気・注意点など、あらゆる点で日本語の情報が少ないので、少しでも参考になればと思います。

CFA(米国証券アナリスト)とは?

CFAとは「Chartered Financial Analyst」の略で、日本語では「CFA協会認定証券アナリスト」「米国証券アナリスト」と呼ばれています。海外ではCFAは有名大学のMBAに並ぶレベルの資格で、日本では最近増えてきているものの資格保有者が2,000名にも及びません。金融業界では広く知られており、外資系の証券会社、資産運用会社などでは採用の際に資格取得者を優遇する会社もあります。

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似たような資格としては日本の証券アナリスト協会が認定する「証券アナリスト(CMA)」があります。違いとしては、CMAはあくまで国内向けの資格であり、国際資格である「国際公認投資アナリスト(CIIA)」と呼ばれる試験の初等レベルにあたります。要は日本の証券アナリストの上位互換はCIIAであるということですね。CIIAはどちらかというとヨーロッパ・アジア圏で通じる資格です。

一方で、CFAはアメリカがルーツとなります。アメリカは金融の一大拠点として大きな力がありますから、必然的に資格のオーソリティ(権威)も重いものになっています。CFAはCIIAやCMAと互換性が全くありません。

CFA試験について

CFA試験自体はLevel1から順に受験しLevel2、Level3まで全て合格し、さらに実務要件をクリアすれば、晴れてCFAとなることができます。

実務要件は金融関連の仕事が4年以上となっています。私の場合は実務条件を充足できないので、試験合格までのステータスとなりそうです。

CFA® Program exam levels compared | CFA Institute
CFA Program includes a series of three exams: Levels I, II, and III. Each level of the curriculum bu...

CFAの勉強方法

Schweser Level1

勉強方法については専門的に紹介している方々がそれなりにいるため、詳細は割愛します。詳しい人々の情報から、私が重要だと感じた勉強法のポイントに絞って紹介しておきます。

  • CFA協会のテキストではなく、Schweserの教材で学習する
  • 電卓の使い方をマスターする
  • 試験1ヶ月前にCFA協会公式のMockテストを受け、復習する
  • 公式テキスト以外の教材で勉強する方が効率的である点については日本の証券アナリスト試験の勉強法に似ていると思う一方、問題集を解いていて明確に時間が不足しているとは感じませんでした。Level1では計算問題の出題がそれほど多くないためなのかもしれません。

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    CFA試験で当日必要な持ち物

    試験当日(まで)に必要なものは以下の4点になります。

  • Exam Admission Ticket(CFA試験の受験票。印刷が必要)
  • パスポート(有効なもの)
  • 筆記用具(シャープペンも可)
  • CFA協会指定の電卓
  • まずCFA試験の受験票にあたるTicketが必要です。当日印刷したものを持参することはもちろんですが、事前にパスポート番号や苗字・名前がパスポートの記載と合っていることを確認します。Ticketには"Your name and passport information MUST MATCH exactly."と書かれています。Ticketには他にも試験会場や注意事項などが記載されていますので、事前に目を通しておきましょう。

    2つ目のパスポートですが、こちらはCFA受験の申し込みでも必要になるものですので、事前に取得が必要となるためあまり心配していません。むしろ、すでに持っていた人の方が心配で、パスポートの期限が切れていないか、氏名が旧姓でないかなどを確認します。パスポートの有効期限はだいたい5年または10年なので、そろそろ更新かな?という方は何度も確認しておきましょう。パスポートは当日の本人証明となりますので、絶対に忘れないようにしましょう。パスポートカード等では代用できません。

    3つ目の筆記用具はもちろん必要です。Policyには"You must bring appropriate pens or pencils on exam day."と書いており、実際には筆記用具は鉛筆だけでなく、シャープペンも持ち込んで使用可能です。実は鉛筆削りやシャープペンの替え芯も会場に持ち込めます。

    最後に電卓ですが、こちらは特に注意が必要です。CFA試験のポリシーには電卓について"Bring the approved calculator with you on exam day."と記載されており、持ち込みが必要のようです(電卓がないから受験できないとも聞いたことはないのですが、流石に試した人はいないでしょう)。さらに、持ち込める電卓がCFA協会により指定されており、Hewlett-Packard社の"HP-12C"(およびHP-12Cシリーズ)またはTexas Instruments社の"BAII Plus"(か"BAII Plus Professional")のみとなっています。

    Hewlett-Packard社とTexas Instruments社のどちらを選ぶかですが、基本的には後者の電卓を選びましょう。前者のHP-12Cは知る人ぞ知る超有名な金融電卓なのですが、キーの入力方法がRPN(逆ポーランド記法)と呼ばれるかなり独特な方法を標準としており、使いこなすためには時間がかかります。私は見た目が気に入り鑑賞用にHP-12Cを購入しましたが、まともな計算をできたことがありません。HP-12Cでも最近のモデルでは通常の電卓に近いALGという入力モードがあるため、一般の方にもやや使いやすくなっているようです。

    Hewlett-Packard

    Texas Instruments社の製品は4,000円〜5,500円程度となっており、8,000円〜10,000円程度のHewlett-Packardの製品よりもお手頃な価格となっています。Texas Instruments社の製品は普通の電卓のように操作することになります。モデルが2種類あり、通常タイプかProfessionalかになりますが、私は通常のBAII Plusを勧めます。価格が少しだけ安いのに加え、電卓のカバーがついているというメリットがあります。Professionalにはキーカバーがないので、バッグの中で壊れないように気をつける必要があります。

    CFA試験会場の当日の様子

    駅から会場まで

    受験会場はTicketに記載されているので、当日の交通手段とあわせてしっかり確認しておきましょう。日本では受験地が東京となりますので、自宅から会場が遠い場合には近くのホテルに前日から入っておくことを強くおすすめします。近くのホテルを利用すると直前の追い込みも捗るため、都内住みの方にもおすすめです。

    TKP市ヶ谷カンファレンスセンター

    私が受験した2019年12月Level1試験の受験会場はTKP市ヶ谷カンファレンスセンター(東京)でした。そもそも受験者の総数自体が多くないため、朝の駅はさほど人が溢れているという印象はありませんでした。流石に会場近くになると受験者と思しき人も見えてきます。

    入場から試験開始

    会場で目的のフロアにつくと、まずは控え室に行き、必要な準備をします。試験室に持ち込めないものはすべて控え室に置いていきますが、個人のロッカーのようなものではなく、オープンキャビネットに置いていくことになります。パスポートのケースや消しゴムのカバーを外すことが必要になります。先に出てきた必須なもの4点以外に、試験中はポケットに入れるか椅子の下に置くことで、鉛筆削りやシャープペンの替え芯も持ち込めます。腕時計は腕から外して机上に置くことになります。他には電池交換用のマイナスドライバー、飴やガム等を持ち込むことができます。詳しくは控え室の張り紙に書いていますので、記載の指示に従ってください。

    会場内は比較的厳重に管理されており、あまり自由にふらふらと歩くことはできません。試験開始前などお手洗いに入るときにもTicketを見せる必要があります。

    Ticketに書いている通り、試験開始30分までに入室およびチェックインを終える必要があります。トイレ退室の間にインストラクションが始まった場合・遅刻した場合には、試験開始時刻まで入室ができません。ちなみにスタッフの方は英語だけでなく日本語を話せる人も多いので割と安心です。

    試験中

    当然のように試験の説明・問題用紙はすべて英語です。試験スタートは「えっ?」と思ってしまうような流れで行われます。英語自体は私でもある程度理解できるレベルですので、さほど心配はいらないと思います。ボーっとして周りの気配を感じていないと、もしかすると回答を始めるタイミングを逃すかもしれません。

    試験時間中もスタッフに声をかけTicketを持ってお手洗いに行くことも可能です。また、試験室には給水機が置いてあり、試験時間中に飲むことも可能です。

    昼休憩

    退出の順番は座席のセクション番号の順になりますので、指示に従います。12時から13時までと言われますが、エレベータが混雑するので会場を出るのが12:20くらいになります。資格試験をよく受ける方はわかるかもしれませんが、近くのコンビニやファストフード店はめちゃくちゃ混みます。事前に食べる場所のリサーチや、必要であれば事前に昼食を用意するとよいかもしれません。

    午後のセクションに関して、実際には13:30までに午後のチェックインを行っていればよく、控え室では多くの人が立ちながら勉強していました。昼食をほとんど食べずに勉強している方もいる感じでした。

    試験終了

    午後のセクションで問題および回答用紙の回収後、さらにTicketも回収されます。実は、うっかり計算のメモ用紙としてTicketを使ってしまうと、かなり問題です。Ticketの注意事項("DO NOT WRITE ON THIS TICKET. PRINT ON CLEAN, UNUSED PAPER.")に書いてある通り、Ticketへ書き込むことは禁止されています。今回、ある試験室でTicket回収の際、Ticketへの書き込みが見つかり、解散が遅れるという事象がありました。Ticketへの書き込みはCFA試験の不正行為にあたる上、他の人の退出が遅れる原因となりますので、頭の片隅に入れておきましょう。

    退出の順番は昼休憩のときと同様、座席のセクション番号の順になりますので、指示に従います。私は17:20くらいに試験会場の建物から出ることができました。

    おまけ

    CFAの問題用紙や解答用紙は試験内で全て回収されるため、実際に受けていない方はなかなか試験の雰囲気をつかめないと思います。実際には問題用紙のシールを開封することになりますが、今回手元に残ったシールの破片をお土産として載せてみました。左側の茶色が午前のシール、右側の緑色が午後のシールの破片です。

    CFA

    TOEICを受けたことがある方にとっては、TOEICの問題用紙のシールとほぼ同じというとイメージしやすいかもしれません。

    まとめ

    CFAは数ある資格試験の中でも屈指の難易度となっています。最終的な合格まで時間が必要ですが、一緒に頑張っていきましょう。もし近々受験される予定の方は、全力を尽くせるよう準備を万全にしましょうね!

    ※今回記事中に載せている会場の写真および問題用紙のシールはある受験者より提供を受けたものです。ご提供いただき慎んで感謝申し上げます。

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