信託保全とは?|業者破綻と顧客保護の関係

もしFX会社が破綻した場合、投資家が預け入れていた資産はどうなってしまうのでしょうか?これを理解するためには信託保全と顧客資産の分別管理を知っておく必要があります。ここではFXの信託保全と顧客保護の仕組みについて理解しておきましょう。

詳しくは以下で見ていきましょう。

※当記事の出典は「金商業等府令第143条」および金融先物取引業協会の「区分管理方法の信託一本化」のページです。

信託保全とは?

信託保全とは預託された証拠金、取引損益、スワップ損益をFX会社の「その他の資産」とは区分し、信託銀行に信託することで、業者が破綻した場合でも顧客の資産を保全する仕組みのことです。

つまり、信託保全とは顧客資産を信託することでFX会社資産を「区分管理」し、信託財産の照合と不足分の追加信託による「財産管理」、そして業者倒産時に信託会社から返還する「倒産隔離」することです。

by: 金融先物取引業協会

2009年の金商業等府令の改正により業者等(委託者)は、顧客(受益者)から預かったFX取引に係る証拠金について、実現損益、評価損益、スワップ損益を加減算し、未払い手数料(未約定取引にかかるものは除く。)がある場合はその額を減算して個別顧客区分管理金額及び顧客区分管理必要額を日々適切に算定し、それに見合う金額を期限内(計算日の2営業日以内)に信託銀行等(受託者)へ金銭信託することとなりました。

当該金銭信託では、受益者代理人の選任が要件づけられており、その中の一人は弁護士等を充てなければならないこととなっています。

金融先物取引業協会「区分管理方法の信託一本化」より

国内で登録されたFX業者には信託保全が義務付けられています。逆に言えば海外FX業者には信託保全のような投資家保護制度が義務付けられておらず、当サイトでは海外FX業者の利用を推奨していません。

by: 金融先物取引業協会

業者の破綻時には区分管理されていた顧客資産が業者を介さず顧客へ返還される流れとなっています。信託銀行には「善管注意義務」「忠実義務」「分別管理義務」があるため、このような顧客保護が成り立つのです。

※信託保全は取引の元本を保証するものではありません。また、業者の破綻時に受益者代理人が顧客へ返還すべき証拠金は、信託財産の範囲内に限定されます。

更なる顧客保護:即時信託保全

上記のように信託保全は投資家保護のために重要ですが、さらにその先をゆく業者が現れました。

2017年12月11日より、SBI FXトレードは「即時信託保全」制度を開始しました。

通常の信託保全では、顧客資産はFX会社による入金、そしてその後FX会社が信託銀行等に信託するという流れになっています。投資家から預かった資金が信託保全されるまでに数日かかることがありました。この期間に業者が倒産した場合、信託保全外となり、顧客資産が毀損される可能性があります。

即時信託保全では、顧客から預かった資金がFX会社を経由せず直接信託会社に入金・信託保全されます。そのため、顧客から預かった資金は、FX会社の破綻等に関係なく信託保全の対象となります。

仕組み上、即時信託保全では、信託銀行に直接入金されます。SBI FXトレードの場合、信託先となる「FXクリアリング信託株式会社」が入金先となります。

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