なぜ通貨の分類が重要か?
通貨の種類を紹介する前に、なぜ通貨の大まかな分類が重要かを確認しておきましょう。
例えば金利の高い通貨としては、豪ドルや南アフリカランドが挙げられますが、どちらを選ぶかというときにどのような材料で選ぶでしょうか?
もちろん単純に金利の高さでいえば南アフリカランドを選びたくなりますが、通貨の流動性は低くスプレッドも大きいです。他の材料として政治的な材料で言えば、豪ドルは先進国、南アフリカは新興国ですからニュースが経済に与える影響は異なりますし、そもそも南アフリカでは日々どのようなニュースがとりあげられているか知っている方は少ないでしょう。
では何らかの理由で高金利通貨を南アフリカランドから別の通貨へ乗り換える必要性が出てきた場合、どの通貨を選べばよいでしょう?やはり同じ新興国で高金利な通貨を選べばよいとなるわけですね。
このように、様々な切り口で見て似た通貨を知っていれば、相場の予測や次の戦略を考えやすくなるというわけです。
ここからは各通貨の特徴を見ていきましょう。
経済発展度
おおまかに言えば、株式市場の先進国(Developed)であるか、または新興国(Emerging)・途上国(Frontier)であるかという分類で、その国での法定通貨が該当します。
先進国
- JPY(日本円)
- USD(米ドル)
- EUR(ユーロ)
- GBP(英ポンド)
- NOK(ノルウェークローネ)
新興国・途上国
- KRW(韓国ウォン)
- CNY(中国人民元)※実際には為替市場での流動性が低いCNYではなく、CNH(オフショア人民元)が扱われる
- THB(タイバーツ)
- INR(インドルピー)
- ZAR(南アフリカランド)
- MXN(メキシコペソ)
金利の高さ
おおまかに言えば、先進国の高金利通貨、先進国の低金利通貨、それ以外という分類になります。最後の「それ以外」という分類は新興国・途上国になりますから、必然的に金利が高い通貨に該当します。
最近では先進国各国で金利低下が進んだことで、安定した高金利通貨としては旨みがなくなってきたのは確かです。
先進国の高金利通貨
- USD(米ドル)
- CAD(カナダドル)
- NOK(ノルウェークローネ)
- SEK(スウェーデンクローナ)
- AUD(豪ドル)
- NGD(ニュージーランドドル)
- HKD(香港ドル)
先進国の低金利通貨
- JPY(日本円)
- EUR(ユーロ)
- CHF(スイスフラン)
- DKK(デンマーククローネ)
- HUF(ハンガリーフォリント)
上記以外の通貨で一般に高金利通貨と呼ばれるもの
- ZAR(南アフリカランド)
- TRY(トルコリラ)
- MXN(メキシコペソ)
安全通貨
大きな地政学的リスクや経済リスクが発生した際、特定の通貨が安全通貨として世界中から買われる現象が見られます。FX取引を行うのであれば絶対に把握しておきたい通貨です。
主な安全通貨
- JPY(日本円)
- CHF(スイスフラン)
- USD(米ドル)
資源国通貨
資源国の通貨は国際情勢のニュースの影響を非常に大きく受けます。そのため資源国の通貨を把握しておくことはトレンドにのれるかどうかを左右し、利益に直結します。
エネルギー関連
エネルギーに大きく関連する資源とは主に「原油」と「天然ガス」です。この2つは相関が限りなく高く、エネルギー需要つまり経済発展が順調なフェーズでは強いです。
特に最近はアメリカがシェールオイルを採掘し安価に石油を算出するようになり、2020年ではアメリカは世界一の産油国となっています。
- USD(米ドル)
- RUB(ロシアルーブル)
- SAR(サウジアラビヤリヤル)
- MXN(メキシコペソ)
- CAD(カナダドル)
- NOK(ノルウェークローネ)
もうひとつは「石炭」があるのですが、こちらは近年ややマイナーですが、石炭の需要が通貨に与える影響はいまだに大きいです。
- AUD(オーストラリアドル)
エネルギー以外
エネルギー以外にも資源はあり、大きく工業に用いる「鉄鉱石」と貴金属「金」「パラジウム」に分類できます。
「鉄鉱石」の産出国通貨としては以下が有名です。
- AUD(オーストラリアドル)
- BRL(ブラジルレアル)
また「金」「パラジウム」の産出国通貨としては以下が有名です。
- ZAR(南アフリカランド)
かなりピンポイントでマイナーなところだと「乳製品」の産出国通貨としては以下が有名です。
- NZD(ニュージーランドドル)