仮想通貨の利益にかかる税金と確定申告|経費、損益通算、損失繰越も紹介

仮想通貨で得られた利益は確定申告を行い税金を支払う必要があることをご存知でしょうか?もし適切に申告しなければ追徴課税や脱税として告訴の対象となってしまうこともあります。しかし、確定申告の基本知識から経費、損益通算、損失繰越まで理解している人は少ないものです。ここでは仮想通貨取引の税金と確定申告について理解しておきましょう。

詳しくは以下で見ていきましょう。

※当記事の出典は国税庁の「仮想通貨に関する税務上の取扱い及び計算書について」のページです。

確定申告の基本

そもそも確定申告とは1年間(前年の1月1日〜12月31日)の所得を計上し、そこから経費に相当する金額などを差し引いて納めるべき所得税額を求め、すでに源泉徴収で差し引かれている納税額との過不足を精算する作業のことです。

所得は以下の10種類に分けられます

所得の種類概要
給与所得会社からもらう給料
事業所得会社経営や個人事業主としての所得
利子所得国債・社債・預貯金などの利子
配当所得株式などの配当
不動産所得地代・家賃収入・権利金など
退職所得退職金・一時恩給など
山林所得山林を売った所得
譲渡所得株式・土地を売った場合など
一時所得保険の返戻金・各賞金など
雑所得年金・原稿料など上記に該当しないものすべて

仮想通貨取引で得られた利益は一番下の雑所得に該当します

仮想通貨の確定申告

個人の場合、仮想通貨取引の益金は累進課税であり、所得税は15%〜55%です。

法人などにおいては、仮想通貨取引による利益が「事業所得」に該当することもあります。

仮想通貨で認められる必要経費

雑所得では必要経費が認められるので、仮想通貨取引で得た利益にも必要経費が認められることがあります。例えば、仮想通貨取引の勉強をするために購入した書籍代、仮想通貨取引やマイニングのために購入したパソコンの費用などが必要経費の認定対象に該当します。

仮想通貨に関連する出費があれば、念のため領収証を集めておくことで確定申告時の作業が楽になります。

自信のないものであれば所轄の税務署に問い合わせましょう。

先物やオプションとの損益通算

仮想通貨取引は取引所に上場されている先物取引、オプション取引との損益通算が不可能です。

税務上、この点は非常に間違いが起こりやすい点ですが、先物取引やオプション取引で得られる利益は「申告分離課税」となっており、仮想通貨の「総合課税」とは合算することができません。

最長3年の損失額の繰越控除

繰越控除とは、その年に控除し切れなかった損失を翌年以降に持ち越すことができるというものです。

その年に発生した損益と他の先物取引、オプション取引と損益を通算し、その年に受けられる控除額を差し引いてもトータルで損失が出ている場合、確定申告を行うことでその損失額を翌年から3年間繰越控除できるというFXの制度を見ると間違えやすいですが、仮想通貨取引では繰越控除ができません。

仮想通貨特有の注意点

仮想通貨取引で特に間違いやすい利益があります。それは仮想通貨で仮想通貨を購入したときの利益です。

例えばビットコインでイーサリアムを購入したとしましょう。もしそのビットコインで含み益があれば、その分の利益は当期の利益として課税対象となります

一見すると、現金で利益が手元に入ってきていないとして見逃しがちですが、実は仮想通貨から別の仮想通貨へ換えた時点で利益が確定したとみなされるのです。この点を見逃すと、手元に現金がないのに、数百万円の税金を支払わなければならないという事態になります。

しかも、税金は自己破産しても免責されない債務ですので、注意が必要です。

余談:海外業者で得られた利益にかかる税金

当サイトでは日本で登録されていない仮想通貨業者は推奨していません。しかし、参考までに海外の仮想通貨業者にかかる税金も紹介しておきましょう。

海外の仮想通貨業者を使った取引で得られた利益についても、もちろん国内で納税する必要があります。「海外業者だから日本の国税庁にはばれないだろう」と考える人もいますが、海外からの送金は監視されており、特に大きな金額が動いたにも関わらず申告しなければ確実に調査対象となります

国内業者は毎年「損益証明書」を発行しており、トレーダーと税務署に対して提出しています。税務署は受け取っている損益証明書と納税者リスト(納税済み)を突合させることで未納税者を把握できます。

海外業者では必ずしも「損益証明書」を発行していませんが、銀行・金融機関が提出する「国外送金等調書」、金融庁の「租税条約等に基づく情報交換」要請により、怪しい資金の動きは簡単に追跡・調査することができます。

さて、海外仮想通貨取引の利益は計算方法が国内と異なり注意が必要です。まず、外貨で取引を行えば、その取引に為替レート変動を考慮する必要があります。

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