取引スタイルとは?
取引に没頭すると忘れがちなのが、取引スタイルの重要性です。
取引スタイルとは「取引のスパンやポジションの期間に対する態度」であると言えます。例えばとにかく取引を多く行い小さい利益を積み上げるのと、ある程度ポジションを持ち続けて大きな利益を狙うのでは、ポジションに対する考え方が大きく異なります。
スタイルによって取引レバレッジや利益の積み上げ方に違いがあるため、取引スタイルを確認することは重要です。例えば高レバレッジで価格変動の大きいペアを短期間多数行う取引と同じように、長期保有での取引を行った場合、あっという間にロスカットや追証が発生することになるでしょう。
取引スタイルを語るうえで知っておきたいのが「pips」と呼ばれる単位です。為替でFXを行った経験がある方はご存じかもしれませんが、pipsとは基準通貨から見た、通貨単位の1/100または価格変動単位の1/100にあたります。例えばETH/BTCペアであれば1pipsは0.01BTCであり、BTCの時価により変動しますが日本円では約1万円にあたります。pipsという単位が採用されている理由は、異なる通貨ペアであっても比較する上で便利なためです。
仮想通貨のレバレッジ取引やFX取引を行う上で、通常の為替FXと決定的に異なる点は、「建玉手数料がかならずマイナスになる」という点です。為替であれば通貨ペア間の金利差がスワップポイントになりますので、ポジションを持ち続けることがプラスになりえます。一方、仮想通貨には金利がなく、玉が買いか売りかによらず「建玉手数料」として必ず損に作用します。
取引のスタイル
超短期:スキャルピング
スキャルピング手法とは、小さな値幅の動きで利益を取る取引手法で、1回の取引に得る利益が数pipsとかなり小さい取引となります。取引を一日の内に何回も繰り返すことで、小さな利益を積み上げていくスタイルとなりますから、取引画面の前で相場を見続けられる方が可能な取引スタイルです。
例えば、ビットコイン日本円ペアでBTC/JPYがレート1,000,000円で売りでエントリーし、995,000円の時に買い戻すことことができれば、0.5pipsの値幅を取ることができます。取引数量が1単位(1BTC)であれば売り買い1往復により5,000円の利益となります。この取引と同じことを1日に3回できれば、1日の利益は15,000円となります。
この取引ではとにかく多くの建玉を持ち取引の回転数を増やすことが重要です。そのため、ボラティリティ(価格の変動幅)が大きい通貨ペアが投資対象となります。また、小さい利益を積み重ねるため建玉を持ち続けることもなく、資金効率を上げる高レバレッジ取引を選好することになります。
また、その日の相場によってはロスカットで損失を確定する決断を迅速に行う必要があります。もし決断できないとずるずると玉を処分できず、資金効率が大きく悪化することになります。
必然的に、選ぶ会社も取引手数料やスプレッドが小さいところを利用することになります。
短期:デイトレード
上記のスキャルピングより少し大きな値幅を目標として取引するのがデイトレードです。文字通り、1日(デイ)で取引(トレード)を終えることとなります。通常、日を越えてポジション保有しません。1日で数十~100pips程度の利益を狙っていきます。
典型的な例では、朝に注文を入れ、昼頃にエントリー状況をチェックし手じまいのための注文を入れ、夕方や夜に残った建玉を処分するというイメージです。もちろん平日の深夜でも為替市場は開いていますから、寝る前にも注文を入れておくことは可能です。
しかし、寝る前に注文を入れておくことはかなりのハイリスクであると言えます。大きなニュースが報道され相場が動いた際にも就寝中は知る由もなく、朝起きた際に大きく含み損を抱えロスカットとなり、最悪の場合には追証を要求されているかもしれません。
もし日中にお仕事などでニュースや板を見れない状況になるのであれば、逆指値や許容ロス水準を活用し、損失が膨らまないような手当てが必要です。デイトレードでは、その人の考え方により大きく選好が異なり、通貨ペアが大きく動くのを好むか小さく動くのを好むか、レバレッジもローレバで行くか損失確定を許容しハイレバで行うかなど、様々な選択肢がありえます。
スキャルピングほどではないにしろ、デイトレードでは毎日1往復取引を行うわけですから、取引手数料やスプレッドが小さい業者を選ぶことになります。基本的には玉を残さないため、建玉手数料を考慮することもありません。(日数計算は片端の業者がほとんどのため、1日分はかかることが多いです)
中期:スイングトレード
スイングトレードでは数日から数週間程度の期間でポジションを保有し、100-200pips程度の大きめの値幅を取りに行くことになります。
スイングトレードではその時期のトレンドにのり、大きく利益を上げることになります。トレンドの開始を確認したらエントリーし、トレンドの終焉や期待収益に到達した場合の玉を処分し利益を確定します。
時価ブレによるロスカットや追証の発生を防ぐため限界までレバレッジをかけることは少ないと思いますが、トレンドの確信度が高いのであれば、高レバレッジで勝負に出ることも可能です。
また、スイングトレードではポジションを一晩以上保有するため、建玉手数料も考慮することになります。
取引手数料やスプレッドはもちろん、建玉手数料も見ながら会社を選択することになります。
長期:ポジショントレード
ここでいうポジショントレードとはスワップ運用と同義で、ポジショントレードは基本的に数か月以上ポジションを持ち続け、十分に利益が積みあがった後に利益確定のために玉を処分することになります。
仮想通貨の世界では、建玉手数料の存在により、レバレッジをかけた取引でのポジショントレードは通常ありえません。
しかし現物取引となると話は別です。というのも、業者によっては「貸仮想通貨」なるサービスを提供しているところもあり、株式投資でいう「貸株」同様、保有している現物仮想通貨を一定期間貸すことで、その期間分の手数料を利益として得ることができるのです。
貸仮想通貨が行える通貨は業者によって異なりますがBTC(ビットコイン)だけでなくアルトコインでも可能ですから、普通預金や定期預金で付与される利息よりも、仮想通貨を貸すことで得られる手数料が上回る場合には、選択肢になりえます。
貸仮想通貨はレンディングとも呼ばれますが、詳しくは次のページで紹介しています。
