不正流出・業者破綻時はどうなる?|仮想通貨の保証制度は?

仮想通貨のニュースを見ていると、ハッキングによる不正流出や業者破綻により、投資家が預け入れていた資産がどうなるか気になりませんか?実際、仮想通貨業では信託保全などによる顧客資産の完全保護が制度化されていないというのが現実です。ここでは、仮想通貨投資に関わる顧客保護の仕組みについて見ていきましょう。

仮想通貨の保証制度

日本でも過去数回、ハッキングによる不正アクセスにより仮想通貨の流出が起きており、数百億円規模の被害が発生したこともあります。

仮想通貨に対して、仮想通貨交換業者は万が一の場合に保証制度などを設けているのでしょうか。

株式などの有価証券取引やFXの場合、取り扱う証券会社やFX会社は、顧客資産を自社の資産とは切り離して管理するいわゆる「顧客資産の分別管理」が義務づけれています。分別管理では、顧客資産は提携する銀行に預け、証券会社やFX会社が顧客資産を勝手に売買したり引き出せないようにしています。このような仕組みを「信託保全」といいます。

現在、日本国内の仮想通貨交換業者には、顧客資産の分別管理は義務付けられていません。

日本の法整備の状況

仮想通貨の顧客保護と仮想通貨交換業者への管理を目的とする法的整備が日本でも検討されています。現在施行されているのが、ここで紹介する「改正資金決済法」です。

仮想通貨の法的定義

資金決済法の改正ではまず仮想通貨そのものの定義が定められました。

その定義によれば「仮想通貨は支払手段のひとつである」と定められ、財産的価値をもつ「通貨」であることが法的に認められました。この文言により仮想通貨はそれまで「モノ」として消費税が課されていましたが、2017年7月1日より非課税となりました。

改正資金決済法では、仮想通貨の定義として2種類を定義しました。このうち、不特定の人に対して物を売ったり買ったりするときに使用することができるものとして「1号仮想通貨」、1号仮想通貨と交換できるものに「2号仮想通貨」を定めました。

1号仮想通貨の代表例としてはビットコイン(BTC)などが挙げられます。

仮想通貨交換業(仮想通貨交換業者)の定義

これまで不明確だった仮想通貨交換業(仮想通貨交換業者)についても詳細に定義されました。

改正資金決済法の施行と同じタイミングで金融庁から公表された「仮想通貨交換業者に関する内閣府令案」と仮想通貨交換業者に関する「事務ガイドライン」には、仮想通貨交換業の登録を必要とする事業内容や、仮想通貨交換業への具体的な規制内容が定められました。

登録制・各種規制の導入

改正資金決済法では取引所に対する規定が設けられました。これによれば、まず仮想通貨取引所は登録制となり、さらに財務規制、行為規制、監督規制、マネーロンダリング規制の4つの規制が新たに導入されました。

仮想通貨の売買や仮想通貨どうしの交換のための手続きを業として行う仮想通貨交換業に対し、利用者保護のために情報提供や本人確認業務の実施といった規制などが定められています。

仮想通貨交換業の制度

まず、仮想通貨取引業者は登録に際して、「資本金額1,000万円以上であること」および「純資産額がプラスであること」といった2つの要件を備えるように求められています。顧客の資産を預かる業者として財務の健全性が求められ、これら2つの要件を満たさない場合、登録申請は拒否されます。

今後の展望

改正資金決済法や当局による規制が浸透していけば、コンプライアンス体制や財務基盤が脆弱な業者は淘汰され、健全な業者だけが残っていく可能性が高いといえます。

仮想通貨にまつわるリスクが完全に消えることはないかもしれませんが、近年は日本も法的な整備をおこない、仮想通貨交換業者への監視を強めてきています。

ただし、まだ完璧とは言える状況ではないため、今確実にできる予防手段によって、自分の大切な仮想通貨を不正などから守ることが大切です。

コールドウォレットやマルチシグなどのセキュリティ対策に積極的に力を入れている仮想通貨交換業者を意識して選んだり、取引所に登録したら必ず二段階認証を設定することなどが必要になると言えるでしょう。

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